『何かが起きた風景写真』

フォトグラファーのスティーヴン・チャウが世界の都市をまわって収めた風景写真は一見ありふれた街の風景です。
チャウはかつて新聞紙のカメラマンをしていたせいか、ニュースが大好きです。
この作品はそんな「ローカルニュース」が報じられた平凡な場所を映しています。

http://www.stefenchow.com/

チャウは地方紙を読み漁って、目立たないけれども興味を引くストーリーをひたすら
探しました。彼が住む北京に始まり、世界の7都市の新聞をチェックし、そして24mmと45mmのティルトシフトレンズを装着したニコン「D800E」でその場所を撮影しました。
写真は美しく、柔らかで、もやがかかったような色をしています。
鑑賞者は作品につけられたキャプションを読んで初めて、チャウがその場所を映した
意味を知ります。

興味深いことに、各都市で報じられるニュースの内容はそれぞれに特色があるようです。
ロサンゼルスやニューヨークのようなアメリカの都市では、暴力的でおぞましいものになる傾向があるそうです。
また、パリやロンドンでは、些細な犯罪や交通事故、抗議行動が好まれるそうです。
そして日本では、地下鉄で女性の遺体が入ったスーツケースが発見されたというような異様なストーリーが好まれるとのこと。

そうした「事件」があった場所で、普通の状態の写真を撮ることで、過剰なニュース摂取が当たり前になった情報社会に皮肉る作品になっているのですね。

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