『風景写真の中のコピー人間』

写真家マチュー・ベルナール・レイモンの作品は、一見普通の風景写真に見えます。
しかしよく見ると、何かがおかしいと違和感に気づくはずです。

http://matbr.com/intervalles

実はこの写真のなかにいる人々は、すべて同じ人をコピーしたものなのです。
つまり一枚の写真の中に同じ人が何人もいるということ。
これが彼の作品「Intervals」です。

彼はフランスやスペイン、ポルトガル、スイス、日本をまわって撮影を行いました。
中判カメラをその場に固定した後は、もう岩のようにただじっとして、同じアングルで同じ距離からその場の状況を何枚か撮影します。

現像室へ戻ってから彼はネガフィルムをスキャンしてPhotoshopで画像を繋ぎ合わせていきます。
多くの人物が写り込む遠景の作品には40枚もの画像が一枚の写真作品になるのだそうです。
その結果、人々の方向性は失われていて、カオスが引き起こされます。
同じ人が何回も写っていますが、あっちに行ったりこっちに行ったり、目的を持った動きのようには見えなくなっています。

作者の意図によると、作品を見る者は写真のなかの人々が「クローン」だと気づいた途端、その人の行動からどう行動しようとしているのか、そのストーリーを読み解こうとしますが、「クローン」たちのバラバラな行動がそれをわからなくしているのだそうです。

撮影機材・LED照明の専門店