でっかいLEDランプキューブを抱えて、キャンピングカーでカナダを撮影して回った
写真家ブノワ・バイエ。
彼の3年間の成果が、世にも奇妙な風景写真として公開されました。
https://www.behance.net/Benoitp
星空や月明かりに照らされた夜の景色などというと、写真家にとっては使い古された
常套句。
ブノワ・パイエはこのありきたりなモチーフをあえて撮影するとともに、そのフレー
ムの中央に、LEDランプキューブを加えたのです。
進行中のプロジェクト「Alternative Landscapes I・II」のために、パイエは実に5
年間ものあいだ、カナダの原野をライトを持って走り回りました。
LEDランプキューブは、90cm四方の段ボールにLEDを取り付けた自作の道具。
それをつり糸で釣り上げたりあるいは三脚に固定し、撮影のあとでレタッチを加えて
三脚を消してキューブが浮いているように見せています。
撮影は多くの場合、月も風もない、何もかもが静かな夜に行われるそうです。
そして4分の露出時間を使って、その風景に奇妙な光をもたらします。
パイエはここ3年間を、キャンピングカーの中で過ごしたそうです。
よい気候条件を求めて、国中を旅し、バンクーバー島のケネディ湖から、ケベックの
ラ・モリシー地域国立公園まで、彼の行く先にはもれなく光の箱がついてきます。
無人の埠頭を撮るときも、雪のつもった樹木を写真に収めるときも、彼を惹きつける
のは風景写真としての「平凡さ」です。
輝くキューブは、常にフレームの中心に浮かんでいます。
そのキューブは見る者の目を引きつけてやまないのですが、いちばん面白いのは、そ
れによって周囲の景色がより魅力的になっていること。
「オルタナティブ・ランドスケープ」、つまり「もうひとつの風景」。
光を放つキューブが素晴らしい風景のど真ん中にあったら、その風景の見方はまた
違ったものになります。
彼はこの方法を使って、風景というものの概念を研究してきたのです。