ポートレートや、カタログ撮影でも和装が関わる撮影の場合、普段の撮影とはまたちょっと違った趣になりますよね。
やはり日本伝統の着物が写真の中に入るだけで、その雰囲気はがらりと変わります。これはまさに日本人だから分かる違いかもしれません。
つまり、和装に関わる撮影には日本人だからこそ、分かる感覚があると思います。
ある日本の女優さんが、女らしさを学ぶために日本舞踊の稽古を続けているという話を聞きました。和装に関わる撮影をすると、その意味があらためて分かるような気がします。なぜなら、洋服と違ってそこには手先、足先といった体の先端に神経が行き届く必要があるからです。言い換えれば、体の先端に神経をおくことによって着物の、日本文化の美しさが際立ってくるのです。
日本の航空会社のサービスが外資系のそれと違うのは、一言で違いを断言できませんが、実は前述に関連してきます。日本での航空会社で保安業務以外の訓練において、つまりは客室でのサービス訓練では、その指先、足先に非常に重点を置きます。食事サービスなど、ものを提供する際には、たとえ片手でできることでも必ずもうひとつの手を添えます。その添えることによって指先から日本人らしい仕草が表現されるのです。身近な状況で想像すると、例えば友達にペットボトルの飲み物を渡すシーンを考えてみてください。ペットボトルです、友達です。片手で渡せますよね。そこを片手で渡しながらもう一方の手を添えます。いかがですか?和の世界です。
これはなにもサービスの間だけではありません。日常みなさんが体験している名刺交換もそうです。日本人同士で名刺交換をする際に、片手で渡したり片手で受け取ったりするシーンはあまり見せんよね。必ずといっていいほど両手で、または手を添えながらのやり取りです。
こういった先端に神経を配る、または配れるのが和装からきている和の文化です。
さて、日本人として少々熱くなってしまった日本人の仕草を参考に、次回和装を用いた撮影についてお話ししましょう。ポートレイト撮影照明は