最近ヨーロッパ諸国への難民問題が取り沙汰されていますが、難民認定を受けるには想像以上に大変なことのようです。
難民受入れを抑止しようとEUを脱退したイギリスは、実はドイツの次に難民を受け入れている国です。
ただそんなイギリスでも、 難民申請に対して半年以内に判断を下すとしているものの、実際にはそれ以上かかっているそうで、ときには10年以上も待ち続けている人がいるのだそうです。
写真家のサム・イヴィンは、そうした難民たちのポートレートを撮影しました。
http://www.samivin.com
難民=他国に亡命するということは、認定されるまでその人のアイデンティティが2つの国の間で宙ぶらりんの状態にあるということです。
その間、かなりの疲弊を伴う生活をせざるを得ないそうです。
まず最初の1年間は、難民申請者たちはイギリスの法律により働くことを禁止されます。
このため、多くの人々は貧しい生活を送ることになります。
彼らはとりあえずの生活を送るため、毎週約46ドルを受け取り、政府が提供する住宅で生活しています。
イヴィンは、そんな難民申請者77,000人のうち、60人を2年かけて撮影しました。
そして、彼らの顔はことごとく画像処理によって隠されています。
それは、アイデンティティを失いかけている、というメタファーなのです。
現状の問題を抱えるヨーロッパに強く訴求する作品となっています。