ロンドンのフォトグラファー、アルマ・へーザーの作品は、写真の顔の部分を使っ
て、折り紙の「くす玉」に似た立体を折り、見るものが混乱するようとても奇妙な
ポートレイト。
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アルマ・へーザーの写真には、ファッショナブルな装いの被写体、正確に当てられた
照明、完璧なポーズといった、素晴らしいポートレイトをつくるのに必要な要素がす
べて備わっています。
しかし「顔」の部分だけは、怖さすら覚える表現となっています。
「Cosmic Surgery」シリーズのなかで、へーザーは被写体の「顔」の目、鼻、口を幾
何学的に配置しています。
フォトショップの加工仕事のように見えますが、ポートレイトはすべて彼女が手づく
りしたものだそうです。
どういうことかと言うと、まず写真の「顔」の部分を切り抜き、折り紙のようにそれ
を折り、それをまた写真に収めるという、実に骨の折れる作業でつくられた作品なの
です。
これは、顔のマスクをあらわしているそうで、「被写体になるのが嫌いなので、セル
フポートレイトを撮るときは、よく顔を覆ったり隠したりしていました」と彼女は言
います。
「自分の顔を見せなくて済む方法がほかにもないか探していて、マスクを使うという
アイデアが気に入りました。」やがて、マスクそのものが顔の写真という作品に行き
着いたそうです。
まずは、ヘーザーは大きなポートレイトを1枚と、90枚ものモデルの顔写真を印刷し
ます。
そのあと数時間かけて、その顔写真を折り紙の「くす玉」に着想を得たという複雑な
形になるよう、丁寧に折っていくのだそうです。
自分の気に入った形ができると、ヘーザーはそれを大きなポートレイトの上に置き、
再び写真を撮るという手法。
顔の複雑さによっては、この過程には実に24時間かかるときもあるとのことです。
モデルさんは、出来上がった作品を見てびっくりするでしょうね。