『動く岩の謎』

アメリカ・カリフォルニアの国立公園「デスバレー」には、「動く岩=Sailing
stones」が存在します。
岩がある山中の干上がった湖底は、引きずったような「岩の足跡」だらけ。

「動く岩」は地面にズリズリとその軌跡を残すことから、移動したという事実は確か
なのですが、滅多に動かない(数年に一回)ので観測も難しく、またすぐそばにある
ほぼ同じ大きさの石でも、動くものと動かないものがあったり、動く距離や方向も異
なるなど、詳しい原理は謎のままでした。

ところが、長年に渡り人々を震え上がらせてきたこの怪奇現象について、アメリカの
研究チームが調査をし、ついにその謎を解明したと発表しました。

調査の手順は、まず小型GPSを付けた15個の岩を持ち込んでデスバレー内に設置。
GPSの電源は、岩が動くとオンになる仕組みのもの。
国立公園内の岩にGPSを付けることは許可されないため、わざわざ外部から持ち込ん
で置いたそうです。

また同時に公園の許可を得て観測所を設置し、広大な国立公園に点在する岩の観察を
開始。
かくして「史上もっとも退屈な実験」は始まりました。

そして観察開始から2年、ようやく岩の移動を確認しました。
それでも、動くのを目撃するまで10年くらいはかかると見込んでいたため、「たった
2年」で確認できたのは幸運だったとのことです。

さてその仕組みですが、
1.冬に雨が降り、石の周囲が池になる。
2.夜の冷え込みで、池が凍る。
3.日の出とともに、氷が溶けて割れる。
4.割れた氷が風に吹かれて、池の上を移動する。
5.その氷が岩を押して、移動させる。
というものだそうです。

池が干上がると、移動した跡だけが残るため、あたかも岩がひとりでに動いたかのよ
うに見える、というわけです。
そんなバカなと思いがちですが、実際に研究チームに観察された結果です。

岩の移動に必要な条件は「秒速3~5mの風」「厚さ3~5mmの氷」「水深7cmほどの池」
だそうで、条件がピッタリ揃うまで滅多に動くことはありません。

なお最も最近の移動の形跡は2006年頃。
気候変動の影響で、1970年以降は移動回数が減りつつあるそうです。

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