noteやtwitter以外でも今や頻繁に文章を目にする、作家 岸田奈美さんが主催、運営、審査、共催すべて行った「キナリ杯」という文章コンテストが話題になりました。
「キナリ」とは「事実は小説より奇なり」という言葉からで、とにかく審査をする岸田さんが「おもしろい!」と思ったものが受賞するというもの。
賞金総額は100万円、総応募数は4240件、受賞者は53名。
岸田さんの文章自体ユーモアたっぷり、情緒たっぷり、つかみどころ満載なので、受賞作は多方面から注目されますね。
そのなかで、準々優勝の素敵な父娘の文章に惹かれました。
「お父さん、ヌードを撮ってくれませんか。」
書き出しはこちら。どういうこと?と気になりますよね。
文章のタイトルは「小学1年生ぶりに、父の前で真っ裸になった話」というもの。
なぜ父親に大人になった娘がヌード撮影を頼むのか、なぜ父親が写真撮影をするのか、それはぜひこの文章を読んでいただきたいです。
かつて父親はカメラマンとして生計を立てていて、それが「かつて」であり、父と娘の共有した時間、経過、そして現在、きっとご本人もそしてお父さんもお母さんも
言葉にできない難しい時期を過ごしてきたかもしれないけれど、なんともリズミカルにそしてユーモアと愛情たっぷりに綴られているからです。
最後にそのお父さんと作者である島田彩さんの一緒に撮影された一枚が載せられています。
その写真の素晴らしいことといったら!
彼女の文章があり、この写真があり、ともに相乗効果として昇華しています。
お父さんにヌード撮影を頼む娘と、それを快諾して娘を撮影する父親。
羨ましいほどの信頼関係と、ヌードと写真撮影という私的な事柄を越えた関係が、あたたかく、読んでいるこちら側にエネルギーを与えてくれると感じるほど。
準々優勝という賞を受賞されていますが、読者からもこの素敵な父娘(おやこ)を応援したくなります。
撮影機材・LED照明の専門店