これは写真撮影ばかりに言えることではありませんが、模倣をするということ、つまりはコピー、まねするということが実際は「習う」「学ぶ」という練習につながることがよくあります。
例えば、好きなフォトグラファーがいても自分で撮影するものと、好きなフォトグラファーの作風は一致しないことがしばしばあります。
ただ、好きなフォトグラファーの写真を長く見ていくと、自分で撮影した写真の色合い、コントラスト、色調などそのフォトグラファーの具合に似てくることがありますね。
こんな感じに、近づくという行為そのものがそこにある技術を練習するということになります。
この「模倣」で効果的な練習方法は、同じ被写体を撮影することです。
あのフォトグラファーの作風ではなくて、実際に一枚の「あの写真」といった具合に。
それはスティルライフでも、風景でも、ポートレートとでもいいのです。とにかく一枚の写真と同じ被写体を撮影してみます。
すると、自分で撮影した写真と「お手本写真」に違いが出てくることが分かります。それは被写体が画像を締める割合、つまり画角の差だったり、被写体と背景のボケの違い、どの部分に焦点が合わせてあるのかという違い等々。その違いを埋めるように撮り続けると、お手本写真で使われているレンズやF値、露出などが想像でき、そうしていくうちに撮影テクニックを習得していくのです。
「真似る」というのは簡単なことではありません、それゆえに工夫して、想像して、模倣します。
「あの写真が大好き」という一枚をお手本にして練習するのは、新たな発見も伴い興味深いものですよ。