前回に引き続き、意外に難しい飲み物の写真撮影についてみていきましょう。
飲み物撮影の際にポイントとなるのが、湯気のある料理撮影の対になる、水滴がついたような「冷たい飲み物」というテーマがありますね。
料理の写真撮影のお話の際に、何度か湯気の撮り方ということをお話ししましたが、今回はいかに「冷たい飲み物」を美味しそうに撮影するかということを考えてみましょう。
料理の写真撮影というのは、実は化学に近いような分野なのです。
最近はドラマや映画製作でもフードコーディネーターなる職業の方々がメディアでも取り上げられるため一般になってきたかもしれません。美味しそうな写真や映像の裏には、撮影するためには写真機材だけでない力が発揮されているということが知られるようになりましたね。
今回のテーマでもある「冷たい飲み物」の撮影でも、食品を撮影するにあたっていろいろな工夫がされています。まず水滴のついたグラスですが、実際に冷たい飲み物を室温の中でグラスに注ぐと水滴ができますが、この自然な水滴、キレイいや「美味しそう」に撮影するのは難しくて、実際には霧吹きで水滴をつくります。またよく言われるのはビールのような炭酸の泡を撮影するには塩を入れてかき混ぜたり、泡を作る錠剤を液体の中に入れたりといった裏技があります。
撮影までの過程をみていくと、つくり込まれた感じはありますが、実際に「おいしいもの」と「おいしそうなもの」では伝える媒介によって限りがあるため、いかに「美味しそう」に見えるように伝えるのが課題になってきます。既存のテクニックのみにとらわれず、こんな風に工夫した美味しそうな飲み物が撮れた。といったアイデアもとても大切です。独自の方法を探すのも撮影段階の発見かもしれません。