水平線も

安定感があり、バランスのとれた、そして印象的な写真の構図として「黄金分割」を何度か取り上げてきました。縦横に2本の線を引き、それぞれの線が交わる4点のどこかに被写体を配置するという構図の取り方ですね。
さて、点を意識して配置する黄金分割と少し見方が変わりますが、配置によってずいぶん印象が変わる物に水平線があります。どこに水平線を持ってくるかということが写真の表現に大きく違いが出てきます。

美しい海、空、森、湖、林など風景写真の中には大自然のなかの水平線がくっきり映えるシーンがあります。さて、この水平線、どの位置に持ってくればいいのでしょう。
被写体が真ん中にある単調な構図のように、水平線を真ん中に置いて撮影しがちですが、実はこれも日の丸構図と言われるパターンと同様です。
シンメトリーを目的とした撮影は別として、水平線、つまり線そのものを真ん中に引いてしまっては、引き出される物がなく、訴える力が半減してしまいます。
例えば美しい夕日を撮影する際に、空と地面、または建物の境界線(水平線)を真ん中に配置するのではなく、ぐっと境界線を下に位置し、空の部分を大きく見せることによって、そのグラデーションの美しさや、コントラストが相まって迫力のある写真に近づきます。
この方法で反対に、水平線の位置を上に位置し、映したい物(例であげると空)を少なめに、例えば三分の一の割合で配分すると、返ってその少なく移っている被写体が強調されることもあります。
同じ風景をいくつもの構図配置で撮影してみて、その違いを実感するのも楽しいものですよ。

撮影機材のライトグラフィカ