『自撮りしている人を撮る人』

香港、アヴェニュー・オブ・スターズは自撮りの「メッカ」です。
誰もが風景には目もくれずあちこちで自撮りを続けています。
そして自撮りしている人たちを撮影した作品シリーズ「The SelfPromenade」では、自撮りをする人々がいかに奇妙で滑稽に見えるかという皮肉が表現されています。

アヴェニュー・オブ・スターズとは香港の海岸沿いにある遊歩道で、ここには香港の有名な映画スターの像がずらりと並んでいます。
観光客にとても人気のスポットで、人々はここぞとばかりにブルース・リーやアニメ映画でおなじみの子豚マクドゥルといったスターたちと一緒に写真を撮っている光景が見られます。

アーティストのナヴィン・カラと写真家のルイサ・ドールは、ここで写真を撮っている人の姿を撮影し始め、人の多すぎる週末を避けながら、3週間かけて撮影は行われました。

2人はこのプロジェクトを「The Self Promenade」と名付け、現代文化の人類学な研究として位置付けています。
作品のなかの写真には“完璧”な1枚を撮るために、体を捻じ曲げたりしながらでも写真を撮る人たちがとらえられています。
また、多くの人がその最高の瞬間をとらえるために長い距離を歩いているのですが、周囲の光景にはさほど目もくれないそうです。
まるで自撮りのために風景が存在しているかのように。
人々の世界観がいかにスマホによって日常的に歪められているかを描き出す、シニカルな作品に仕上がっています。

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