「美術手帖」にて、とても興味深い記事を読みました。
「Arts + All Museums Salary Transparency 2019」という美術業界に従事する人々の給与情報の収集と公開について。
現在フィラデルフィア美術館でヨーロッパ装飾美術・デザイン部門のアシスタント・キュレーターを務めるミシェル・ミラー・フィッシャーさんという女性が始めたもので、給与格差について考えていた彼女が同じような考えと経験を持ったキュレーターの人に後押しされて公開したということです。
ただこれは同僚とともに公開した、というだけのものではなくて、新規エントリーを受け付けて現在でも美術業界従事者が給与情報を公開し続けているもので、つまりはムーブメント、社会的活動になっていると言っていいと思います。
6月21日現在時点で2600人以上の人が情報公開しています。ほとんどがアメリカ国内ですが、ロンドンなどヨーロッパからのエントリーもあり、先ほど一件日本からのエントリーも見られました。
プライバシー保護のために記入されない部分もありますが、情報公開は、勤務先の名前、役職、部署、国、勤務開始時の給与、最新の給与、雇用形態、福祉厚生、性別、人種、学位といった項目があります。
とても興味深いことは、世界各国、美術業界ではインターンシップはほとんどが無給であるという慣習であるという定義のような概念とそれに伴う美術業界従事者の給与に関する議論は無粋だという圧力とも言える風習と、それによって、つまり不透明さによって起こる給与格差など触れてはいけない御法度のような世界に一石を投じたということです。
これからさらに情報エントリーが増えて、貴重なデータベースとなることでしょう。
発起人のフィッシャーさんが、行動を起こさなければ何も変わらない、というように小さなきっかけであっても計り知れない大きなムーブメントとなり、意義ある変化が起こるかもしれません。
公開情報をじっくりと見ていると、勤務先、ポジション、国、学歴(学位)によって本当に様々な給与の数字が見られます。個人的にはやはり写真部門に従事している人の情報に目がいきますね。
面白いくらいと言ったら語弊がありますが、こんなに違いがあるのか!と驚きます。美術業界でなくとも一人でも多くの人が、このことに興味を持つこともこのムーブメントを支えることになるのではないでしょうか。
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