博物館や美術館の照明は、展示品の魅力を引き出すためには欠かせません。
作品の持つ本来の色を保たなければならないため、明るすぎても、暗すぎてもいけま
せん。
非常に繊細な調整が必要なのです。
アメリカでは、照明デザイナーの強いこだわりが、新たな次元のLED照明を生み出し
たと言います。
その人の名はスコット・ローゼンフェルド。
スミソニアン博物館分館のギャラリーの改装に伴って、照明器具の一新を試みまし
た。
しかし、それまで試してきたものは、どれも彼の目的にそぐわなかったそうです。
制御可能な照明の特性は、形、配電、動き、色、強度の5つ。
最初の4つは、LEDで達成できますが、強い光を思う場所へ直接当てるには、現状のど
のLEDランプにもできないほど、「幅の狭い光線」が必要でした。
ここでスコットは、「よい照明がないのなら、つくってもらえばいい」と発想しま
す。
国の研究機関や企業を巻き込み、新たなLED照明の開発に奔走しました。
そうして完成したのが「Very Narrow Spotlight LED」。
この新たな照明のおかげで、今まで無かったような光の配列、延長、形成、拡散の方
法が可能になりました。
5m以上も離れたところから、直径35センチほどのスポットを照らしだすことができた
のです。
それまでの照明では90センチが限界でした。
彼はとても頑固にエンジニアや科学者とやり取りをしたそうです。
それが新たな照明の誕生につながったのですね。