写真集という名の写真集

幡野広志さんの初の写真集「写真集」が3月1日に発売されました。
幡野さんといえば昨年11月に開催された写真展「優しい写真」が異例の動員数を記録したことも話題になりました。
「優くん」の写真をきっかけに写真家幡野広志を知った、という方も多いのではないでしょうか。
「ぼくは息子のことを愛していた事実を伝えるために、いまを生きて写真を撮っている」と写真集に記しているように、一人の写真家が、一人の父親がただそれを伝えるために一時一時を慈しみながらシャッターをきっているその写真。
本当に、言葉がいらない写真です。

「写真集」には幡野さんの代表作三作「海上遺跡」「いただきます、ごちそうさま。」そして「優しい写真」を収録。
「海上遺跡」はその名の通り、海上に残された建築物を撮影したもので、日没直後に撮影したそうです。日没時の特有の微かな光で長い露出で撮影されたのでしょう。きっちり焦点の合った建築物と柔らかく動く波間のグラデーションが美しく、そして儚げな作品です。
そしてご自身が漁師となって撮影していた「いただきます、ごちそうさま。」という作品も幡野さんならではです。
「写真集」には「海上遺跡」から20点、「いただきます、ごちそうさま。」から30点、「優しい写真」から51点が収録されています。

発行はほぼ日、発売を記念して、3月10日まで東京と京都の同時開催で写真展も行われています。
サイト内では二度にわたる幡野さんと糸井さんとの対談も掲載され、幡野さんの言葉を読むことができます。

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