笠井爾示(かさいちかし)さんの7冊目の写真集「七菜乃と湖」の刊行を記念して同名の写真展が2月27日から3月10日まで開催されます。
笠井さんといえば、ポートレートやヌードを艶めかしく生々しく、そして切ない美しさをきりとる写真家として、これまで6冊の写真集を発表しています。2017年刊行の「東京の恋人」「となりの川上さん」でも被写体はもちろん話題になりましたが、ポートレートやヌード写真はモデルとの関係性がまず前提にあります。その「写真家」と「モデル」の関係性が写真には現れないゆえに見えるものもあれば、現れるからこそ息を飲む写真があります。
笠井さんがこれまで撮影し続けてきた東京の女性、そしてプライベートでセクシャリティを写したものは、関係性が築いていたからこそ。
笠井さんのHPのなかのアーカイヴの写真を見ていると、あっ、気づくことがあります。
アラーキーのショットを見ているような錯覚に一瞬とらわれること。
生々しいもののなかに、儚くて刹那なエロス。
それはもう、ものすごい力量と才能の圧さえ感じられるほど。
だからこそ、プライベートワークのみならず、コマーシャルワークとしての俳優やミュージシャンのポートレートのなかでも「写真家」と「モデル」の関係がしっかり見えてきます。
すごいなあ。HPのアーカイヴを見ているとため息が出てきます。
さて、この「七菜乃と湖」は写真家とモデルの七菜乃さんが三年をかけて築いたものだそうです。東京各所、台湾、山中湖周辺、森、超高層ホテル、ストリートでの撮影。
その数枚のショットを見るだけでもこの写真集を手に取りたくなります。
写真展では写真集も先行販売だそうです。
また3月9日には七菜乃さんを招いてトークイベントが開催。
エロスという言葉だけではとてもくくれなそうな写真家です。