現在写真展が開催中にともない、作品の写真や作家のインタビューを見かける機会があります。
その作品は、リンゴが宙を浮いている写真。
作家の名前はアン・ジュン。
高層ビルから飛び降りてしまいそうな危うく緊張感が漂う初の写真集「Self-Portrait」で一躍その名を広めた彼女の新作が、上記のリンゴが被写体となっている作品です。
「過去」と「未来」そして「現在」を高層ビルの淵や窓枠にいる自分自身を撮影することによって表現したアン・ジュンを写真家というよりは作家、アーティストと呼んだ方がしっくりきます。
そして新作「One Life」も、見えないものを形にするというアン・ジュンの作家性を大いに発揮し、さらには観る側がハッとしてしまうような美しい写真として表現しています。
りんごは、彼女の夫や祖父、祖母など家族が空中に投げ、それを撮影したもので、空中に存在したものが必ず地面に落ちていく、その瞬間を1/2000以上の高速スピードシャッターで撮影したそうです。
重力によって落ちるリンゴが「死」のメタファーであり、落ちることをも知らないリンゴが瞬間空中に存在するのが「生」そのものであるというように、生きていて存在するという哲学にも通じるような可視化できないものを写真という媒体を通して表現するアン・ジュンに脱帽です。
写真展の開催は2月2日まで。
「Self-Portrait」と「One Life」が今回日本で同時刊行というのもニュースです!
ぜひ行きたい写真展、ぜひ手に取りたい写真集です。