この秋11月15日に開催されるオークション、クリスティーズ・ニューヨークに、デイヴィッド・ホックニーの代表作である「Portrait of an Artist (Pool with Two Figures) 芸術家の肖像画ープールと二人の人物ー」が出品されることがわかり、予想落札価格が8000万ドル(約90億円)と、現存アーティストの作品の中で過去最高額になりそうだということが発表されました。
現在81歳のホックニーは自国の英国ではもちろん、世界的に人気のあるアーティストで、昨年から今年にかけて開催されたテート・モダンでの回顧展では100万人を超える来場者も記録しています。
これまでホックニー作品の最高落札価格は2850万ドルだったので、今回のオークションではゆうに倍以上の価格を記録する見込みです。
さてホックニーの代表作のこの作品「Portrait of an Artist (Pool with Two Figures) 芸術家の肖像画ープールと二人の人物ー」、プールを題材として多くの作品を生み出したホックニー作品の中でも特に有名かもしれません。この作品の制作年は1972年、そして1983年にロンドンで開催されたホックニーの写真展「Hockney’s Photograph」を機会にその翌年出版された「David Hockney Cameraworks デイヴィッド・ホックニー・カメラワークス」という写真集があります。
この写真集、ホックニーがポラロイドで撮影したものを並べてコラージュしたもので、プールの中で泳ぐ人物、波打つ白い光、など前述の絵画をまさに彷彿させる面白い写真集です。
1984年に発行された写真集はもちろん今や手に入れることは難しいのですが、ネット上でも多くの画像を目にすることができます。プールのみならず1981年から1983年にかけて撮影されたポラロイド写真をピカソのキュビズムからヒントを得てコラージュしたというホックニー独特の視点を加えた写真作品。写真を見てから絵画を見るのも、絵画を見てから写真を見ても、ホックニーの唯一無人の面白さを楽しむことができます。