よく未来について構想を練ることを「青写真を描く」と言いますが、語源となった「青写真」とは「日光写真」とも言い、もともとは古い写真の技術のことです。
写真と言ってもカメラは使いません。
感光紙の上に図面等の原図をのせて、現像液を使って現像します。
要するに昔のコピー技術ですね。
感光させると紙は鮮やかな青色へと変化します。
それが「青写真=図面・設計図」となり、転じて計画を練ることの意味として使われるようになったわけです。
しかしやがて1950年代にコピー機が発達・普及し始めて青写真はだんだん使われなくなりました。
その青写真の技術を使って作品を制作したのが、女性写真家のメガン・リーペンホフ です。
彼女は巨大な感光紙を浜辺に持ち出し、その紙を海に浸して塩や砂、海藻を紙にまとわせました。
そうすると、思ってもいないような魅力的な模様や風合いが紙の上に描き出されたといいます。
そうやって「Littoral Drift(漂砂)」というシリーズ作品を生み出しました。
実は彼女は、400回もの試行錯誤を経たそうです。
その製作手法とは、まずは感光紙を海岸へ運びます。
水際まで来たら紙を広げて海水に浸し、感光紙を砂の上に固定させます。
あとは波が打ち寄せるままに任せるのみ。
5~30秒ほど感光させたら、感光紙を箱へと戻します。
現在もリーペンホフは、この作品を制作し続けています。
このシリーズ作品はアメリカやヨーロッパの15カ所のさまざまな海岸から生みだされたもの。
時には川や湖、水たまりから制作された作品もあります。
場所によって、紙面には異なる表情が与えられるのだそうです。
今やリーペンホフは、「写真家がカメラを持ち歩くように」いつもバックパックに感光紙を入れて持ち歩いているそうです。
そして日々興味深い水源を探しています。