川内倫子さんの最新写真集「Halo」に先駆けて、都内二ヶ所で写真展が行われます。
以前こちらにも記したように、ひとつは銀座の森岡書店にて6月27日から7月16日まで。そしてもうひとつは恵比寿のPOSTにて6月30日から7月23日まで開催予定です。
どちらも場所のセレクションも素晴らしいですよね。観に行くまでにもうきうきします。
そして今回気になるのが、7月2日に森岡書店にて開催されるトークイベント。
川内倫子さんと作家/マンガ家の小林エリカさんとの対談です。マンガ家以外にも「マダム・キュリーと朝食を」が芥川賞候補になるなど作家活動注目されているので、先日もラジオの番組内で西加奈子さん、中村文則さんと対談されたりしてらっしゃいます。
あれ、でもなぜ川内倫子さんと対談を?小林エリカさんはエスペランティストとしての顔を持っていらっしゃるようで、そのことも関係しているのでしょうか?それとも単に親交があるとか?
川内さんが感性、インスピレーションで多くの作品を作りはじめ、それがやがて自然の流れでどうしてその被写体に惹かれて撮影をしていったのかの答えが導き出されるように最後にはコンセプトが通った作品となっていく写真に、国内だけでなく海外でも多くのファンを持っているのでしょう。感性豊かでかつご自身の考えをしっかり持たれる川内さんと、多彩な方面で活動されている小林エリカさんの対談。気になります!
カテゴリー: 未分類
自然の色と理想の色
夏真っ盛り、この季節だからこそ海の色、空の色、山の色など自然の色をキレイにいきいきとした色を表したいものです。
以前にも空の色をもっと青く撮影するには?ということで記述したのは、光の方向を読みながら撮影すること。つまり空の色をもっと青く撮影したい場合には順光で撮影した方がいいということ。
このように撮影する際に光の方向が色合いの出方に関わる他に、カメラの撮影設定によっても随分色合いが変わってきます。
・彩度
・コントラスト
・露出補正
まず彩度ですが、彩度とはつまり色の鮮やかさの度合いを示します。彩度が低ければ色は薄く見え、彩度が高いとぐっと強調されて青が鮮やかな青になります。
そしてコントラストも彩度の設定に似て、コントラストが低いとソフトな感じになり、つまりはぼんやりとした写り、色合いになります。一方コントラストが高いと明暗差が強くなる分色の差がはっきり分かるような写真になります。
露出補正では、明るめにすると色合い自体も明るく薄くなり、暗めに撮ると暗めになると同時に色もはっきりと出てきます。
カメラ設定を上手に活かして、理想的な自然の色を再現してみましょう。
程度の加減が過ぎると彩度やコントラストにしても不自然なほど色合いが変わってきてしまうので、注意しながら「ちょうどいい」色合いを調整しましょう。
つちのこ実験室
音楽家の高木正勝さんの配偶者、絵本作家のさとうみかをさんのtumblrのタイトルが、こちら「つちのこ実験室」。
映像、音楽表現でデビュー当時から注目されてきた高木正勝さんは、京都在住から3年前に人口31人の山奥へ移住したことも注目されました。おふたりで始めたその移住生活の様子が地元の人たちと自然の中での日々の暮らしを、さとうみかをさんのtumblr の写真からも垣間見ることができます。
さとうさんの柔らかな筆模様の作品写真から、眩しいほどの山々の緑、鮮やかな野菜の色、小さな虫の模様、猫が狩ってきた横たわったモグラの写真、などなど。スクロールするのが止まりません。
山暮らしに憧れを持っている人には本当に羨望の眼差しで一枚一枚の写真に興味津々ですが、実際に暮らすことと、写真を見て羨ましがるのでは大変な違いでしょう。そう、羨ましくともなかなかできない生活です。
あらゆる写真でその自然が、そして写っている人々がキラキラして見えるのは、単に美しい自然光で撮られているだけではないでしょう。老若男女、笑顔で生き生きし、生活そのものを楽しんでいる様子が伝わってきます。
さとうさんのユーモアと愛情が感じられる視点で切り取られた写真のなかには、村の公民館で行われる敬老会や婦人会、屋根の瓦の掃除やお稲荷さんの掃除など、行ったことがない場所なのに懐かしささえ感じてしまう暮らしがそこにあります。
忙しい時間の中合間をみて開く情報サイトとは違い、傍にお茶を置きながらゆっくり眺めたいサイトです。
「後期高齢写」
天才アラーキーの個展タイトルセンスにはいつも脱帽です。
現在タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムにて開催中の荒木経惟氏の個展は5月25日に77歳を迎え、その日から開催の本展は「写狂老人A 17.5.25で77齢 後期高齢写」と名付けられています。
前立腺癌、右目の視力喪失など、年齢を重ねることによって起こる壁をものともせず、本展をはじめ、6月22日から始まるシャネル・ネクサス・ホールでの「東京慕情 荒木経惟×ギメ東洋美術館」、7月8日から始まる東京オペラシティ アートギャラリーでの「写狂老人A」、そしてすでに今から待ち遠しい7月25日から東京都写真美術館ではじまる「センチメンタルな旅、1971- 2017-」と立て続けにまるでアラーキーゴールデンタイムとでも言ってしまいたいほど、ものすごい精力的な活動です。
この連続的な個展を開催するだけでもかっこいいアラーキーが曰く
今は年寄りの時代なんだからさ、今どき、「年寄りに見られたくなく」なんて加齢に抵抗するヤツダメなワケ。今こそ “老いていく”というその変化を、自信を持って発表していくべきなんだよ。年を取らなきゃわからないことってたくさんあるし、人間としてキャリアを積んでんだから、若いヤツより老人のほうが魅力があって当然(笑)。
という素晴らしいアーティストステイトメントを私たちに示してくれています。
アラーキーだからこそ言えるこのフレーズも、彼が言ってくれるからこそ、なんだか歳を重ねていくのが誇らしくなってきます。
さて、この精力的なアラーキーゴールデンタイムの皮切りには、それをしめすかのように展示作品の数も圧倒的です。タイトルでもある新作シリーズからカラー作品約116点、モノクローム作品約720点、合計836点の作品を観ることができます。
ブラインドデート
志賀理江子さんといえば、写真集「Lilly」と「CANARY」で木村伊兵衛写真賞を受賞、2008年なのでもう9年前になるんですね。
独特の写真表現と視点を持つ作家ですが、今回の写真展では2009年にバンコクの恋人たちを撮影したシリーズ「ブラインドデート」をはじめとして「弔い」「人間の始まり」「大きな資本」「死」といった考察と物語で構成され、プリント写真だけでなく、会場にスライドプロジェクターを設置してのインスタレーションもともに展示されるそうです。
関連プログラムも充実していて、作家を囲んでのオープニングパーティやアーティストトークから写真評論家の竹内万里子さんとの対談や漫画家のいがらしみきおさんとの対談、そして面白そうなのは「石拾い」というワークショップがあります。この展覧会のなかのテーマのひとつである「弔い」についての話を聞いてから川へ石を拾いに行き、美術館に戻ってきてから、拾ってきた石について話し合う、石を中心に展開されるワークショップ。哲学的なワークショップですね。
これらの関連プログラムは美術館のHPにてアンケートを実施し、その回答がプログラムに反映されたそうです。さらにこのアンケートを志賀さんが読んで、これからの新作を制作する可能性もあるとのことです。観覧者を含めた面白い試みですよね。
開催は香川県の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて6月10日から9月3日まで。
東京からはちょっと距離がありますが、注目の写真展です。
4年ぶりの写真集と出版記念写真展
川内倫子さんの最新写真集が前回の「あめつち」から4年ぶりに出版されます。
「あめつち」はニューヨークのApertureと青幻舎との国際共同出版、2011年の「Illminance」は5カ国で同時出版、そのうちのひとつはやはりApertureから。そして今回の最新写真集「Halo」もApertureとHeHeとの共同出版です。
全点デジタル撮影の今写真集は、2010年にイギリス、ブライトンでのコミッションワークとして撮影を開始した鳥の群、島根の出雲大社で執り行われる祭り、新年の祭りとして300年以上続く中国、河北省の鍛冶技術を誇る村で職人が冷たい壁に1300度まで熱した鉄を投げつけ火花を散らす祭りの幻想的な光景など、場所もシーンもそれぞれ違うものの川内さんのファインダーからしか切りとられない美しい光景が広がります。
この「Halo」、日本ではHeheから購入可能。しかもオンラインショッピングで購入の方にはサイン本が届くそうです。発送予定は6月の下旬予定で現在予約受付中です。
さらに今回は出版記念として森岡書店銀座店と渋谷のPOSTにて写真展が催されます。
ホルガ会
その魅力に触れるとクセになるトイカメラの代表格HOLGA。
そんなHOLGAを楽しむための「ホルガ会」なるものがあります。HPには世界最大規模のホルガ専門写真サークル、とあります。
活動の一つとしてHOLGA EXPO 2017という写真展を開催しています。
HOLGA愛好家ならメンバー以外でも参加できるという開催概要には大阪と東京の会場で全3期の日程で開催され、現在出展者を募集しています。
参加資格はHOLGAで撮影された写真であること、もちろんHOLGAはフィルムのトイカメラなのですが、HOLGA社販売のホルガレンズをデジタルカメラや他のフィルムカメラに装着して撮影された写真もOKとのことです。こういった改造を含めた写真って撮影者はもちろん見る側もとっても面白いんですよね。
開催要項には写真の展示サイズや展示方法なども細かい記載を読むことができます。
トイカメラの中でも圧倒的にファン数が多いHOLGA。
こういう地道な活動はHOLGAファンファンにはもちろん、フィルム写真ファン、そして純粋に写真ファンには嬉しいものです。
要項には打ち上げスケジュールまでしっかり記載されています。写真展に参加して同志と語り合うのも楽しそうですね。
『LUNAR』
2015年、NASAによってアポロ号から撮影した大量の記録写真が公開されました。
アポロ計画とは、1961年から1972年にかけて行なわれた人類初の月への有人宇宙飛行計画。
そしてアポロ11号にて初めて、人類は月面に降りたったのでした。
その後もアポロ17号まで計画は実施され、全6回の有人月面着陸に成功しています。
NASAはその当時の写真を、flickerページ「Project Apollo Archive」で4千枚近くも公開しました。
そこから着想を得た映像クリエイターが、それらの写真を繋いで、1本の短編動画を完成させました。
このショートフィルムは、オーストリアの映像クリエイター、クリスチャン・スタングル氏と、弟で作曲家 ウォルフガング・スタングル氏の兄弟によって製作された作品です。
複数の写真を繋げていく「パノラマステッチ」や、動いているように見える「ストップモーション・シーケンス」などの技術でリアルさを追求し、18ヶ月の月日をかけて制作したそうです。
作品名は「LUNAR」。何度でも繰り返し見たくなる美しい映像です。
『キラチェン・リカちゃん』
あのリカちゃんシリーズから、LEDの光に反応して、髪色が変化するリカちゃんが登場しました。
「リカちゃん」は、ご存知タカラトミー社製の着せ替え人形。
フルネームは「香山リカ」といいます。
人形ながら、企業の広告キャラクターなどタレントとしても活動し、公式のTwitter・Instagramも存在しています。
これまでの累計出荷数は5300万体を超えるとのこと。
シリーズの最新作「キラチェン・リカちゃん」は、東京おもちゃショー2017にて発表・展示されました。
リカちゃんの髪にはLEDが発する特定の波長の光線に反応して色が変わる特殊な繊維を使用しており、付属のLEDライトを当てると、髪の色がピンクからブルーへとチェンジするのです。
そしてある程度時間が経つと、また元のピンク色の髪へ戻ります。
また、ライトに装着するキャップは4種類ついていて、星型などやハート型など、好みの形で部分的に髪色をデザインすることが可能となっています。
「リカちゃん」は時代に合わせて変わっていくと言いますけど、技術の発達もまた変化の要因なのですね。
写真家と俳優トーク
第40回木村伊兵衛写真賞受賞の川島小鳥さんの活躍に注目が集まりますね。
かせきさいだぁ5年ぶりのアルバムのジャケット写真、俳優の大賀さんを約一年間にわたって撮影した私家版写真集の出版などなどニュースが絶えません。
どんな被写体、モデルでも、クレジット無しに撮影者がわかる写真を撮れることが写真家としてのひとつの礎ならば、まさに川島さんの写真は一目見ただけで、あ、川島さんの写真だと分かる特徴がありますよね。
「未来ちゃん」はじめ、どんな被写体からも、心を許した、身を任せた間柄のような、そんな関係を作れるからこそ飾らない日常のなか不意の瞬間をとらえる、川島さんのフィルターを通さないと見逃してしまいそうな絶妙な表情を収められるのでしょう。
前述の大賀さんを撮影した私家版作品集「道」の刊行を記念して、現在東京で三箇所にて展示会が開催されています。そのひとつ「オレンジ」というテーマで写真展が開催されている渋谷のUTRECHTにて川島さんと大賀さんのトークが開催されます。
開催日は7月17日月曜日、要予約で、残念ながらすでに応募期間は終了しているのですが、最近写真展に合わせて写真家とゲストとのトークイベントが合わせて開催されることが多くなってきてますよね。写真展を見て作家のトークを聞けて、身近に感じられる機会が増えるって嬉しいです。写真展も同時開催で数カ所で行われるのも、前回お話しした川内倫子さんの写真集刊行の写真展もしかり。写真とイベントがさまざまにリンクして、写真を通しての楽しみ方が増えていきます。
UTRECHTでの写真展は7月17にちまで、「ふたつの夏」と「東京の夜」というテーマの写真展は7月30日まで開催です。同じ写真集でテーマが違う写真展をはしごするのも面白そうです。