今年で5回目を迎えるKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2017 が開催されます。
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭の特徴は、なんと言っても開催される会場!
二条城 二の丸御殿台所・東南隅櫓、京都文化博物館 別館、建仁寺内の両足院はじめ、通常は非公開の町家など指定文化財等を含む会場で開催される点です。
これはもう京都を観光しながら、しかも普段は入れないような町家なども見ながらアソシエイト・プログラムを含む18の展示を楽しむことができます。日本人にはもちろん、外国人にもとっても魅力的な写真祭ですよね。
それぞれの展示ごとに関連したイベントがあるのも楽しみの一つです。
例えば両足院での荒木経惟氏の写真展には「荒木経惟の現在を語る」というタイトルで写真評論家の飯沢耕太郎氏によるプログラムが組まれていたり、元・新風館での吉沢亮人氏の写真展での関連イベントには、吉田_亮人氏と京都在住の作家いしいしんじ氏によるトークがあったりと興味深いイベントが盛りだくさんです。
会期は5月14日まで、それぞれの会場は入場無料のギャラリーもありますが、チケットで入れます。ゆっくりと多くの会場を回りたい方には一箇所を除く全会場を会期中各一回のみ入場可能なパスポートがお得だそうですよ。
2017年のテーマは「LOVE」、それぞれの会場でそれぞれの写真家たちのいろいろなかたちの「LOVE」を観てまわりたいですね。
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桜写真といえば
桜満開真っ盛り。
日中もそしてライティングされている夜桜もカメラのシャッター、スマホのボタンを押したくなりますよね。
それでもこの時期の桜はほぼ白いソメイヨシノは、撮ってみると写真撮影の難しさを実感しますよね。ホワイトバランス、露出、ライティングなどが、いざ桜の写真を撮ってみると難しさに気づきます。
お花見のついでに写真を撮ろうとするとなかなか難しいのは桜の撮影条件が限られているからでしょう。日中ならば太陽と桜の木のある環境、時間帯、その日の天気、撮影場所の位置など条件をクリアしなければなりません。
桜の写真と聞いて、みなさんはどなたの写真を思い浮かべるでしょう。鮮やかな蜷川実花さんの桜、数年前に出版された印象的な大森克己さんの桜、白黒写真の美しい森山大道さんの桜。
日本のシンボル的被写体の桜だからこそ、写真家が残す桜の写真は数知れません。
そんななか、近年「桜の写真」といえば思い浮かぶのが鈴木理策さんの桜でしょう。
どうしたらこんなに美しい青空の水色と桜の白色が表現できるのだろう、と桜写真のなかに引き込まれてしまう鈴木理策さんの桜。
最近では作家の窪美澄さんの最新刊「やめるときも、すこやかなるときも」の表紙写真が鈴木理策さんの桜です。
実際に肉眼で見ている桜よりも美しい桜、と思わせてしまう鈴木氏の桜。
お手本を決めて模倣するのは一番のレッスンです、まずは露出を少し上げて(高めに、+)淡い、儚い桜を試してみましょうか。
『地面に埋め込まれた信号』
とあるオランダの地方都市が、歩行者用の信号機を道路に埋め込んだことで話題を呼んでいます。
なぜならば、オランダも「歩きスマホ」が危険で問題になっているからです。
歩きスマホによる交通事故を防ぐため、たとえ前を見ずに手元のスマホを見ながら歩いていても、交差点の赤信号を見逃さないようにだそうです。
たしかに、逆転の発想ですね。
日本でもポケモンGOの操作による事故がニュースになったりしていました。
ドライバーの脇見運転もさることながら、歩行者が画面操作に集中しすぎるあまり、交差点の赤信号に気が付かずクルマにはねられてしまう事例も少なからずあるそうです。
歩きスマホは日本だけでなくどこにでもある問題なんですね。
で、オランダ西部の街ボーデグラヴェン・レーウェイクで、ライン状のLED照明が横断歩道手前の地面に埋め込まれたそうなんですね。
もちろん通常の信号機もあるのですが、それに連動して赤や青に光ります。
「+Lichtlijn」(オランダ語で「light line」)というプロジェクトだそうで、今は
試験的に1カ所のみで運用されているとのこと。
今後、事故防止への効果が見込めれば、幅広い地域での採用も検討されているということです。
トラムという路面電車が多いオランダでは、スマホに気を取られて信号に気づかない歩行者のせいで路面電車が頻繁に緊急停車しているそうです。
ともすれば、下を向いて歩くことを容認しているようにも取られがちですが、これで実際に事故が減るのであれば、導入したほうが良いでしょうね。
桜写真のキーポイントは
毎年、今年こそは、と思うのは桜の写真撮影。
一年のうちにほんのわずかな期間だけの撮影チャンス。その間にスケジュールや天候などが合わなければそれだけで撮影のチャンスも半減します。
それゆえに、ポイントを押さえて、ぜひチャレンジしてみたい桜写真。
それは「ボケ」。多くの写真のなかでとても重要なポイントが「ボケ」にありますが、桜写真はなおさらのこと。
揺れるように、儚い一瞬の美しい桜、それが「ボケ」によって引き出されます。
前回写真家鈴木理策さんのため息が出るような桜写真についてお話ししましたが、鈴木さんの桜でも大いにボケが活躍しています。
「ピンボケ」という言葉があるように、焦点が合っていない写真はマイナスイメージがありますが、それは写真のどこにも焦点が合っていない写真のこと。
ここでボケの活用は、一点に焦点が合っていてそのほかがボケている写真、つまりボケがものすごい脇役を果たし主役を引き立てるわけですね。
その有効なボケ写真は、背景はもちろん、実は手前にボケをもってくることです。
桜の木に近づきましょう、桜の花は四方の枝に咲いています、どこかに焦点を合わせると手前に入り込んでる桜がぼけてきます。そんな構図を作ってみましょう。もちろんF値は開放気味で。
さてこの「手前ボケ」効果、桜写真にはもちろん有効ですが、ファッション写真でもおおいに見受けられます。
一見目障りになるかと思いきや、意外な効果があります。
もうそろそろ満開を過ぎてしまうと心配はいりません、これからもっと色味が濃く、「ぼんぼり」のように可愛らしい八重桜も始まります。
まだ桜写真を試せる機会はありそうですよ。
鈴木さんの桜はライフワークともいえる被写体、ちょうど4月13日まで神楽坂のla kaguにて写真集に合わせた展覧会が行われています。
『防犯カメラのIoT化』
「モノのインターネット」「IoT」という言葉もずいぶん一般的になってきました。
さまざまなモノをネットに繋げることで、生活がより便利になります。
ただ、快適さや安全のために進むIoT化ですが、何でもネットに繋がってしまうということは、個人情報的な危険があるとも言えるのです。
アメリカでは防犯カメラが一般家庭に普及していて、ガレージや玄関、子供部屋などにも使われているそうです。
さらにこれらをIoT化することで、スマートフォンからカメラの映像をモニタリングできるという便利機能が付加されます。
実際すでにそういった商品が多く発売されています。
しかしこの度、防犯カメラの大手メーカーの製品にとんでもない脆弱性がみつかりました。
報道によると、Bluetoothを使ってカメラとインターネットの接続を解除できる方法があることがわかったとのこと。
つまりその方法でカメラは強制的にクラッシュ&再起動し、90秒間のあいだだけ感知されることなく家に侵入できる時間ができてしまいます。
しかもメーカー側はまだその脆弱性に対応できていないというので、ユーザーはどのように対処すればいいのかわからない状態だそうです。
カメラをオフにするか、頼らない生活をすればいいのでしょうけれど、セキュリティのためのカメラが逆に安全対策の弱点になってしまうなんて。。。
レン・ハンの「Human Love」
ここ最近頻繁に中国の写真家レン・ハンの作品を目にするのは、ひとつは写真美術館として有名なストックホルムにあるフォトグラフィスカでの大規模な個展が今年の2月17日から始まっていたから。
そしてもうひとつはそのフォトグラフィスカでの個展開始八日目にレン・ハン自ら命を絶ってしまったからでしょう。
詩人でもあるレン・ハンのホームページには2007年から書き溜められている詩と、2008年からの写真とともにレン・ハンの突然の死に戸惑い且つ彼と彼の作品にリスペクトしながら、今後について一旦立ち止まり、すべてのプロジェクトを一時停止するという友人と家族からのメッセージが英語、中国語で綴られています。
ほとんどの作品が男女の裸体が被写体である彼の写真には、ヌードでの表現方法がまだどれだけ限りなくあるのかということに気づかせ、時には体の一部を使って幾何学模様やグラフィックを思い起こさせるようなユーモアな作品から、テリー・リチャードソン顔負けなエロス全開な写真もあれば、ハッと息を呑むような美しい裸体の写真までと、撮りたいものを撮りたいだけ撮るという飽くことがない静かで激しいエネルギー突きつけられている感じがします。
今はきっと写真集入手も困難な時期かもしれません。すぐにストックホルムのフォトグラフィスカの展示を見に行くのはもっと難しい。
でもレン・ハンのHPでいくらでも彼の素晴らしい作品を見ることができます。
こんな素晴らしい写真を残してくれたレンハンをおもいながらクリックできます。
日本公開、ロバート・フランクのドキュメンタリー映画
こちらで以前にロバート・フランクのドキュメンタリー映画に触れたことがありますが、振り返ってみると昨年2016年の10月に記したものでした。
さて日本でも待ちに待った公開が決定。
アメリカでは2015年の10月のニューヨークフィルムフェスティバルで公開されたのを皮切りに、全米ではもちろん、ヨーロッパ、アジアでの多数のフィルムフェスティバルで上映され、2017年の3月でも映画の公式ホームページではアメリカ内での上映スケジュールを発表しています。
監督はロバート・フランクの映像作品の編集も携わってきたローラ・イスラエル監督。サウンドトラックにはトム・ウエイツ、ボブ・ディラン、ヨ・ラ・テンゴそしてローリングストーンズなどなどと、作家やミュージシャンにも数々の影響を与えてきたフランクだからこその楽曲になっています。
インタビュー嫌いのロバート・フランクが、友人ローラ・イスラエル監督の前で見せた姿、彼の生活、そして彼の言葉を放つロバート・フランクが観れる貴重な資料とも言えるドキュメンタリー映画でしょう。
『何かが起きた風景写真』
フォトグラファーのスティーヴン・チャウが世界の都市をまわって収めた風景写真は一見ありふれた街の風景です。
チャウはかつて新聞紙のカメラマンをしていたせいか、ニュースが大好きです。
この作品はそんな「ローカルニュース」が報じられた平凡な場所を映しています。
http://www.stefenchow.com/
チャウは地方紙を読み漁って、目立たないけれども興味を引くストーリーをひたすら
探しました。彼が住む北京に始まり、世界の7都市の新聞をチェックし、そして24mmと45mmのティルトシフトレンズを装着したニコン「D800E」でその場所を撮影しました。
写真は美しく、柔らかで、もやがかかったような色をしています。
鑑賞者は作品につけられたキャプションを読んで初めて、チャウがその場所を映した
意味を知ります。
興味深いことに、各都市で報じられるニュースの内容はそれぞれに特色があるようです。
ロサンゼルスやニューヨークのようなアメリカの都市では、暴力的でおぞましいものになる傾向があるそうです。
また、パリやロンドンでは、些細な犯罪や交通事故、抗議行動が好まれるそうです。
そして日本では、地下鉄で女性の遺体が入ったスーツケースが発見されたというような異様なストーリーが好まれるとのこと。
そうした「事件」があった場所で、普通の状態の写真を撮ることで、過剰なニュース摂取が当たり前になった情報社会に皮肉る作品になっているのですね。
『500年前の自画像=現代の自撮り!?』
「自画像」は14世紀に鏡が発明されたことで生まれたそうです。
現代人は自画像というより、スマホを使って行う「自撮り」をします。
時代は違いますがどちらも自身を対象に写す行為です。
ある研究論文によると、2つは同じモチヴェーションで行なわれているということなんです。
1433年、新しい絵画のジャンル「自画像」を生み出したのは、「受胎告知」などの作品で有名な画家ヤン・ファン・エイクでした。
古い時代の鏡は金属を使ったものでしたが、14世紀の技術者たちは、スズと水銀の合金でガラスをコーティングし、世界で初めて高品質の鏡をつくり出したそうです。
その後ルネッサンス時代が訪れると、自画像は画家の間でブームになりました。
19~20世紀になると、ゴッホ等に代表されるように、シュルレアリスムで抽象的な自画像を描いて激しい感情を表現するようになりました。
そしてこうした作品は、ある意味で現在流行している「自撮り」の先駆けだったという、ドイツの認知科学者の研究があるのです。
自撮りは自画像の一部として技術的進歩から生まれたものであり、「自分が望むような姿に見られたい」という昔から変わることのない人間の欲求から生まれた行動であるという論文を発表されています。
初期の自画像では、上流社会の一員でなければ身につけられなかった毛皮の襟など、当時の富の象徴とされるようなものが描かれています。
そのように昔から自画像は、自身の複雑な感情をひとつの画像にあらわすために「盛られている」のだそうです。
スマホ上で写真を修正するように、500年前にルネッサンスの画家たちも鏡を覗き込み、そこに映っている以上のものを描こうとしたんですね。
ゴールデンウイークの表参道
大人気若手写真家の代表ともいえる奥山由之さんの写真展がゴールデンウイーク期間中に表参道ヒルズのスペース オーにて開催されます。
CDジャケット、広告のみならず、ファッション雑誌でちょっとクレジットに注意してみるだけで撮影が奥山さんによるものだというものが今や頻繁に見られます。
写ルンですで撮影されるスタイルも有名ですし、フィルム撮影ゆえの色合いが奥山さんスタイルとして定着していますね。
今回の写真展では雑誌「EYESCREAM」にて連載の「君の住む街」での全てポラロイドカメラで撮影された35人の女優ポートレートと、この写真展のために撮り下ろした東京の風景写真約25点が展示されるとのことです。
展示内容にも興味がそそられることはもちろん、そして12日間の会期の展示会場が表参道ヒルズのスペース オーというとこにも驚き、さらには総合プロデュースが後藤繁雄さん、デザインが服部一成さんというところで泣く子も黙りそうなほどの豪華体制に写真家への期待度と信頼が伝わります。
しばらく先の写真展のことですが、ゴールデンウイーク、表参道、奥山由之。
見逃せない組み合わせですね。