さて、前回熱く語りました日本人の仕草を活かした和装の写真撮影について本題に入りましょう。
今日では着物は実際に身につけるのも見る機会も減りました、ゆえに写真撮影する際も少ないですね。それならばなおさら、機会があればやはり失敗することなく美しい写真撮影を残したいものです。
前回もお話ししましたように、洋服の撮影と和服の撮影はひとつひとつの所作が大きく違ってきます。たとえば手に持つバック。洋服では軽く肩にかけたり、ダイナミックに大きくふって体の表情をつけたりしますが、着物では、手前でも小脇でもそっと指を揃えた手を添えて持ちます。
さらに足元は洋服の場合は、まるでバレエの3番、4番ポジションのようにつま先をそれぞれ外に向けてたち位置で安定をとることもあります。しかし着物は正反対!それはハの字をした、まさに内股の佇まい。これはなかなか外国人モデルには難しいポーズです。
洋服が西洋から来たものであって、和服が日本ならでわの文化から育まれた衣類という違いが写真撮影ということであらためて認識されるとは!
写真を通して、物事を観察する楽しみがあるのが実感できます。
さて、立ちポーズしかり、座りポーズも同様です。洋服のポーズとは異なります。
まず、着物で深く腰掛けることはありません。たとえ洋服では深く腰掛け、足を組んでこそ決まるポーズがあるとしても、着物ではそうはいきません。
襟から帯、そして膝の上におく指のラインが美しく出るように浅く腰掛けます。
もちろん膝と足先はきっちり揃えて、(そしてこれは洋服でも同じですが)膝から下のラインを流し気味にします。
和の文化、そして世界観を写真を通して表現する場合、撮影者も日本文化、そして
日本人の仕草を意識する必要があります。撮影にあたって、浮世絵を見たり、または絶好な機会としては歌舞伎を観るのも非常にヒントを得ると思います。
さて、次回は、和の美しさ最終回。大切な「後ろ姿」についてみていきましょう。アパレル撮影機材