ドイツのデザイン大学でインタラクションデザインを学ぶフィリップ・シュミットさ
んが製作したカメラ 「CAMERA RESTRICTA」は、名前が示すように「制限
(restrict)」するカメラです。
要するに、「ありがちな写真」を撮ろうとするとシャッターが切れなくなる、という
わけです。
SNS上で、みんな同じような写真を取って、それがタイムラインにズラッと並ぶのに
うんざりして、この機能を思いついたようです。
これならオリジナリティーあふれる視点の写真を撮ることが出来ます。
GPS内蔵のこのカメラ、今いる地点の写真の多さをSNSで検索し、その場所で撮られた
写真が多数(35枚以上)公開されていると、シャッターボタンが画面上から消えて、
写真が撮れなくなります。
その時ファインダーを覗くと赤く大きなバツが写り、ディスプレイにはその位置で撮
影された写真の枚数が表示され、同時にアラートが鳴りひびき、その場を去らざるを
得ない状況にまで追い込まれてしまいます。
このような使われ方に加え、ニセ札を作ろうとしてコピー機に掛けるとコピーが失敗
するように、撮影してはいけない所を撮影できない能力をカメラに持たせるのもアリ
なのではないか、とシュミットさんは言います。
美術館の中とか、機密施設などのことですかね。
カメラ自体は、自分のiPhoneに、3Dプリンタで作られたボディをかぶせて使用しま
す。
デザイナーや写真家としては、「みんなが撮っている写真」を撮りたくない、という
意識はあるかもしれませんね。
試作品では単純なGPSでの位置情報だけのようですが、ネットの画像検索なども組み
合わせれば、同じ構図の写真の多さ、なども調べられるように改良されることも期待
できますね。
また、オリジナリティーなんか要らない「一般」の観光客向けに、数多く写真を撮ら
れている、いわゆる「シャッターポイント」を教えてくれる機能も、逆にアリかもし
れませんね。
雑誌や何かで見たことがある有名な写真を、自分のカメラでも、同じ構図で撮りたい
という欲求もありますからね。