「シノラマ」という言葉をご存知でしょうか?
これは篠山紀信氏が自ら作った造語だそうで、ジョイント写真の技法で撮影したものを組み合わせて「パノラマ」にみせた作品を指し、つまりは「シノヤマ」と「パノラマ」を足して「シノラマ」とネーミングされたものです。
さて、「シノラマ」写真の最新作も観れるという篠山紀信氏の個展が原美術館で開催中です。
題して「快楽の館」。
この展覧会ではすべての写真が原美術館にて撮影された、いわば撮り下ろしの作品ばかりの新作です。
すべて原美術館で撮影された作品ですが、もともと一般的に美術館が空の状態で置かれる期間というのは短いもので、今回の撮影は今年5月の10日間だけを使って、およそ30名のモデルを起用して撮影にあたったということです。
館内を鑑賞しつつ、その館内で撮影された作品を見ていくという、面白い混乱を起こしそうなこの展覧会、篠山節と原美術館の興味深いコラボレーションとも言えるのではないでしょうか。
開催期間は来年2017年1月9日まで。
たっぷりとある期間中に、何度でもゆっくりと鑑賞できそうです。
月: 2016年8月
『タワー・インフィニティ』
韓国にとある高層ビルの計画があります。
カメラとLEDスクリーンを組み合わせ、裏側の景観をビルに投影する仕組みです。
つまり、スイッチひとつで透明になる、高さ450mの超高層ビルなのです。
超高層は出来てしまうととても大きく、うまく設計しないと景観を壊してしまいかね
ません。
ならば透明にしてみよう。というのがこの計画の勘所。
この計画は、2008年にアメリカの設計事務所がコンペで選ばれて、最近ようやく韓国
政府から建設許可が出されたそうです。
原理としては、透明マント技術として時々登場するものと同じとのこと。
ビルのひとつの面に複数のカメラを設置し、それらが撮影する画像は、裏側の面に設
置したスクリーンにリアルタイムで映し出されます。
設計では、16台の耐候性カメラが、ビルの表面に3通りの高さで配置されています。
カメラが撮影した画像は、建物の形状に合わせてデジタル処理され、他の面に設置さ
れた1,500基のLEDスクリーンに投影されます。
ただし、このシステムが効果を発揮するのは、天候条件に恵まれた場合でも1日数時
間に限られるそうです。
建物内の照明の関係で、夜間には透明にできないからだそうです。
完成すると、世界第6位の高さになる建物で、展望デッキ、映画館、ジェットコース
ター、水上公園、飲食店等々がある総合娯楽施設となります。
ただ、まだまだ資金を調達する必要があるそうで、実現するのはいつになることや
ら。。。
『ドイツ人カメラマンの日本旅行』
日本を訪れる外国人旅行者が最近だいぶ増えて来て、インバウンドや爆買いという言
葉が流行しました。
当然多くの人は写真を撮ると思いますが、何を撮るんでしょうか。
たとえば、ドイツ人カメラマンが撮影した日本。
カメラマンのヴィンセント・アーバンと、アレックス・シラー、アレックス・タンク
の3人のドイツ人が2015年、東京・大阪・京都・広島、などを3週間かけて鉄道で巡る
旅に出ました。
そこで見たり、出会った人々を撮影した記録映像が公開されていました。
外国人目線でみる3週間の鉄道の旅。
日本らしい伝統的なシーンはもちろん、アイドルなどのサブカルチャーや、大都会の
夜景などがごちゃ混ぜになったとても興味深い映像です。
そこには私たちが普段気が付かなかった「日本の新たなる一面」が見え隠れしている
ようです。
『宇宙からの映画』
ハッブル宇宙望遠鏡をテーマにしたIMAX作品などを制作してきた監督トニー・マイ
ヤーズ氏。
彼は、地球を題材とした新しいドキュメンタリー作品には、国際宇宙ステーション
(ISS)からの映像が必要だと確信していました。
しかし、従来の撮影装置一式を宇宙に送ることは不可能だったのです。
宇宙輸送船には、運ぶべきもっと重要な貨物があるため、許可がおりませんでした。
そこで監督は、従来の大掛かりな撮影機材による撮影ではなく、キヤノンの一眼レフ
での撮影を宇宙飛行士たちに依頼しました。
アメリカで公開されたIMAX映画「A Beautiful Planet」は、宇宙飛行士たちがすべて
デジタルカメラによって撮影した作品となっています。
フレーミングやライト調整のような、ISS上から撮影を行う方法を宇宙飛行士に伝
え、また、ISSのあちこちにキヤノンの一眼レフカメラを設置して、オーロラなど、
地球上の美しい光景を窓越しから捉えました。
この映画の撮影過程で、ISSは地球を7,000回以上周回し、最終的にその距離はおよそ
3億420万kmにも及びました(1周は約90分)。
撮った映像はそのままデータでヒューストンの宇宙センターに送られたそうです。
日本が誇るキヤノンによる、高品質で美しい映像をご覧ください。
待ち遠しい写真展
写真家横浪修さんのライフワークシリーズ「Assembly」の最新作が9月に写真展として発表されるそうです。
2009年に「100 Children」というタイトルで刊行された写真集と、同タイトルで開催された写真展が話題を呼び、2014年にはその後の続シリーズとして「1000 Children」も発表され、横浪修さんといえば、女の子がそれぞれ肩に乗せた果物を固定したままこちらをじっと見つめるポートレート写真が思い浮かびます。
「集合、集合体」をテーマに撮影されてきた「Assembly」の最新作では真っ白な雪の中での撮影。白とその集合体のコントラストは、白黒写真のマリオ・ジャコメッリを彷彿させるものがあり、現像的で甘美な美しさに目が止まります。
ジャコメッリはくっきりとしたコントラストの白黒写真ですが、横浪さんはカラーでスローシャッター。色が混ざり合う様が水彩画のように溶け込み幻想的で、これまでと違う集合体の美しさを捉えています。
会期は9月2日から10月8日で、もう少し先ですが、これからすでに楽しみな写真展です。
(ギャラリーのサイトではEXHIBITIONをクリックすると新作写真画像があります)
アウトドアで実力発揮
一見、カメラとは見えない、その形態は見た目もこれまでのカメラとは違う近未来的な360°カメラをご存知でしょうか。
RICOH THETA S(リコーシータS)は、360度の静止画、そして動画を美しく撮影できるカメラとして、360度撮影者の中でも密かな人気は高く、知る人ぞ知るカメラといったところです。
知人がこのカメラで旅行先の記録を撮影したところ大満足。綺麗に撮れるだけでなく、とにかく撮影自体が楽しいというのです。
使い道は多様で、高画質、FULL HDでの動画撮影が可能なので、例えば夏の夜空を360°撮影、キャンプやアウトドアなどでも、まるでそこにいるような「臨場感」とともに撮影できるというのです。
なるほど、スペックを見てみてもシンプルなボディーに比べてハイスペックで実用的な機能が充実です。
長時間露光が可能で8GBメモリー搭載ということで、確かに天体撮影にも重宝しそう。
撮影者の中にはオーロラ撮影をされた方もいらっしゃるようですが、360°のオーロラ撮影にはぴったりですね。Wi-Fiモジュールで撮影した画像をスマートフォンへ転送などもできるということで、最近ではブロガーさんの人気カメラにもランキングされているようです。
重量は125g、高さが13cmなので、バックの中にはもちろん、ジャケットのポケットにもすっぽり収まり、どこへでも持ち歩けるスマートさです。
厳しい猛暑が続きますが、こんな楽しいカメラを持ち歩けば、アウトドア撮影も数倍楽しさが増しそうです。
使い方、楽しみ方は撮影者によって無限のようで、ハッシュタグを使ったインスタグラムの写真を見るだけでも面白い!この機材で撮影しただけで、グラフィックアートのようです。
カメラの買い替えをお考えの方にもおすすめです。
何度でも試したくなるマジョリ画
SNS上で、すでに多くの方が目にしているのではないでしょうか。
独特な妖艶さが印象に残る宇野亜喜良さんのイラストが、資生堂の「マジョリカマジョルカ」というブランドとのコラボレーションで、組み合わせ無限の似顔絵がつくれるサイトが登場しました。
一度試してみると、何度でもトライしたくなる楽しさ!
とにかくまずダウンロードをして試していただきたい面白さ。
似顔絵の作り方は顔写真を使うか、輪郭など細部をモンタージュ式に選択していくかの二通りから始めます。その後背景からアクセサリー、そしてここがポイント、資生堂とのコラボレーションなのでチークやネイルなどなど細部のメイキャップが楽しめます。
つまりは女性が楽しいサイトなので、男性はどうでしょう、、ただ男性でも楽しんでいる知人もいます。似顔絵のベースと世界観が宇野亜喜良さんによるもので、その組み合わせ自体は自分で選択できるため、作っているような感覚は男女問わず楽しめると思います。
出来上がったマジョリ画はダウンロードできますし、SNSでシェア、そしてそのマジョリ画でギフトを作るという付加価値付きの企画を打ち出しています。
SNSを介した企画、キャンペーン、イベントなどは自然に大きな「広告」にもなり得るということがよくわかります。
企画者にも利用者にも楽しめる、この時代の利点を最大限に享受できるサイトです。
ただし、期間は2016年いっぱい、12月31日までです。
ビル・カニンガムの生き様
自分の信念とともに、思い切りよく、そして正直に生きた人は本当にかっこいい。
先月、2016年6月25日に、87歳でこの世をあとにしたニューヨークの名物フォトグラファー、ビル・カニンガム氏もその一人でしょう。
2011年にはドキュメンタリー映画として彼の映画も公開され、全世界的に有名になり、この訃報もファッション誌から一般の新聞紙まで報じたほど。
それでも我々がニュースから知るのとは違い、ニューヨークタイムズの読者たちはビル氏が脳卒中で入院した発表前にすでに異変に気付いたそうです。なぜならばこの10年で初めてビルの撮った写真が掲載されなかったからとのこと。ニューヨーカーにとって、彼の存在がどれほど大きかったのでしょう。
「おんとし(御年)」とよくいいますが、そういう枕詞を使いたくなるほど神々しくかつチャーミング。目印は青いジャケットと、首にニコンのカメラをかけたまま自転車に乗る姿。
ニューヨークの街角で彼にレンズを向けられて断る人はいなかったでしょう。いや、かれに写真を撮られることを夢見ながらお洒落をしていた人もいたに違いないのでは。
彼に撮られたスナップショットの中の人々は、はにかみ、そして微笑んでいます。
ニューヨークタイムズのweb版でビル氏のスナップショットとともビル氏の音声解説付きのビデオがファッションテーマ別に見ることができます。
ビデオを見てビル氏を偲びつつ、唯一無二の存在を知ります。
世界最大級の写真コンテスト
ソニーワールドフォトグラフィーアワードは2017年で10周年を迎え、これまで累計エントリー数が100万点を超えているという、世界最大級の写真コンテストです。
コンテストの部門は4つに分かれ、参加無料で誰でも応募することができます。
HPには言語設定が13ヶ国語あり、コンペティション内容、これまでの受賞作品など日本語ページもあり、応募作品は全てオンライン受付のみなので、世界のどこにいても登録さえすれば応募できるコンテストです。
すでに応募は開始され、締め切りは部門ごとに違いますが、来年2017年の1月です。前年2016年の作品が応募対象となり2017年に審査され、受賞作品が決まるわけです。
注目度はメディアに取り扱われる数を見てもわかります。
2015年にはこのコンテストと、出展フォトグラファーについて約74万件の記事が世界中で掲載され、英語の記事に関しては約9億5千万人に読まれているそうです。
2015年の一般公募部門カテゴリー1位受賞者は「リスクは皆無、チャンスは無限。応募しない理由はありません」と言っています。
みなさんもいかがでしょうか。
『ポーカーフェイス vs AI』
フィンランドのオウル大学の実験で、20人の協力者になんの感情も顔に出さないよう
指示し、その表情を1秒100コマという高性能カメラで撮影しました。
つまり、ポーカーフェイスを撮影したのです。
ウソがつくのが上手い人は、表情に出ない、というのが理由のひとつにあるでしょ
う。
ウソなのに真剣な顔だったり、悲しいのに笑顔だったりと、巧みなポーカーフェイス
で感情を悟られないよう、コントロールしているのです。
ところが、オウル大学の研究チームにより開発されたAIシステムは、人間の微妙な表
情まで読み取り、感情を見抜くことが出来るらしいのです。
AIシステムは、人間の目では感じ取ることができないような、ごくわずかな顔の動
き、心理学者が「マイクロエクスプレッション」と呼ぶ些細な表情まで読みとること
ができます。
人間のつくりだすポーカーフェイスには限界があり、対人間ではダマせても、コン
ピューター相手ではそうもいかないというのです。
撮影した写真からは、164タイプの無意識のマイクロエクスプレッションが認識され
たそうです。
それらの表情を、アルゴリズムに学習させると、そのAIは、見事にウソが見抜けるよ
うになりました。
ただこの結果を受けて、表情や感情を読みとるのに人間よりもアルゴリズムの方が
勝っていると断定するのはまだ早いでしょう。
しかし、些細な表情を見逃さずに察知するというだけならば、コンピューターの精度
はかなりのものです。
表情の無いコンピューターからしてみたら、人間のポーカーフェイスなんて、とても
豊かな表情に見えるのでしょうね。