「もうひとつの風景」

砂丘を自在にスタジオのようにして写真撮影を演出した写真家として有名な植田正治氏の作品集「植田正治作品集」が河出書房新社からの出版記念としてヨーロッパ旅行で撮影された「音のない記憶」の作品を取り上げた写真展「もうひとつの風景」が開催されます。
時代を感じさせない鮮烈で、斬新な構図とポーズ。植田調と呼ばれる独自のアイデアと演出で知られていますが、ヨーロッパでの旅行中撮影された「音のない記憶」シリーズはストリートフォトと言えそうな作品で、アンリ・カルティエ=ブレッソンのようなスナップと自然に演出されたようなマジックさがうかがえます。演出がなくとも植田氏の手にかかると程よく不思議さが調和されたような写真にみえてきます。
展示内容はオリジナルゼラチンシルバープリントが約20点。会期は3月8日から4月8日。場所は赤坂のBooks and Modernです。
ギャラリー入場は無料ですが、3月11日と4月1日にはそれぞれ金子隆一氏、飯沢耕太郎氏によるトークイベントがあります。トークイベントは参加費要です。
ギャラリーではオリジナルカレンダーから、書籍、オリジナルグッズの販売もあるようです。
植田正治ファンにはもちろんのこと、写真を勉強している学生さん、写真好きの方々にお勧めしたい、じっくり堪能したい写真展ですね。

撮影機材・LED照明の専門店

『Stacked』

ベルリンにはブロックを積み上げてつくったような形のビルが数多く建っています。
それぞれ色や形にバリエーションはあるものの、どこか画一的で退屈な印象を受けます。

ベルリン在住のフォトグラファー、マルテ・ブランデンブルクはこれらの建物を撮影し、「Stacked」という作品集をつくり上げました。
なるべくフラットに見えるように建物から距離をとり、雲が写り込まないよう明るく晴れた日を狙って撮影したとのことで、たしかに写真だけ見ると、抽象的な絵画のように見えます。
意外なことに、画像処理はほとんど施していないそうです。

これらの建物の多くは戦後に建てられ、中流階級の人々にモダンで手頃な価格の住まいを提供してきました。
こうした状況は、戦後日本に大量供給された住宅団地に似ています。
しかし日本同様、時代の移り変わりにより段々この住宅から人々は立ち去って、郊外に一軒家を建てたり、都市部の歴史ある建築の中をリフォームして住むようになりました。
一方、この建物は経済的・社会的に負担を強いられている人々が住むものというイメージがついてしまいました。

戦後の住宅不足に対応するため、短期間に政府によるトップダウンの計画によって建てられたことで、一時は多くの人々に住居を与えてきたものの、供給が行き渡った現在では、むしろ品質の悪い、醜いコンクリートブロックの塊とみなされてしまっているのです。
しかし、こうした建物と伝統的な建物が混在していることが、ベルリンらしい景色と言えるのかもしれません。

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『スティーヴ』

「スティーヴ」と名付けられた大気現象があります。
狼煙のようなオーロラのような、摩訶不思議な現象で未だに正式な科学名や詳細がないそうです。
https://youtu.be/tH7bVlGNjWU

この動画は去年、オーロラ鑑賞グループによって撮影されました。
Facebook上では、あっという間に50名以上の目撃情報が集まったそうです。

この紫と緑のリボンのような姿は、オーロラのようでオーロラとは形状や色が異なっていて、仮にオーロラだとすれば何故このような形をしているのかはわかっていないそうです。
とりあえず、この不思議な光のリボンには「スティーブ」という名前が与えられています。
現在ではNASAや欧州宇宙機関、大学の研究者たちがスティーヴの解明に乗り出しているそうです。

目撃情報によれば、カナダのカルガリーで現れたスティーヴは、25~30kmくらいの幅で、長さはその100倍くらいの可能性があるとのことです。
出現してから1時間程度は形を保ったのち消えていきます。
出現時期は冬で、色は紫が多く、緑ののものもあるようです。
最初はプロトン(陽子)の一種か何かだと思われていたそうですが、プロトンオーロラは裸眼では見えません。
今のところ、正体不明の現象です。

そして先日、ESAの地磁気観測衛星がこのスティーヴを観測したところ、地上から高度300km地点の温度が3,000度まで一気に上昇していたそうです。
燃えているということでしょうか。謎が謎を呼びますね。

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『グハンダンサンブル』

フランスの写真家ローラン・クローネンタルは、1950-1980年代に建てられたパリ近郊の大規模公営団地に住む高齢者の生活を記録し続けています。
彼の作品名は「Souvenir d’un Futur(未来の記憶)」。

http://laurentkronental.com

被写体である巨大な団地は「グハンダンサンブル(grand ensemble)」と呼ばれ、戦後のフランスが深刻な住宅不足に対応するために、ユートピアを夢想して生み出されたものです。
ですが、建設から60年も経った今ではかなり老朽化が進んでいて、その多くがすでに取り壊されており、順次、さらに多くの建物が取り壊されつつあるそうです。

クローネンタルはいつしかこの巨大なレゴのような形状の魅力に引寄せられていました。
この建築群が、過去と未来の間でさまよっているような感じがしたのだそうです。
2011年から写真を撮り始め、季節ごとにこの場所を訪れ、変化する光の中でこの建築群を撮影し続けています。

また彼は、建物だけでなくここに住む年配の人々も撮影しています。
グランド・アンサンブルにはさまざまな世代の人々が暮らしていますが、建設当初から住んでいる年配の方が多く、そういった住人たちだけが発する、どこか魅力的な雰囲気を彼は追い求めているのだそうです。
写真は、過去と未来の混在するパラレルワールドのような印象で、SF映画のようなフィクショナルな雰囲気さえ感じます。

結局のところ、この「グランド・アンサンブル」はかつて夢見た理想郷にはなっていないようです。
住宅の供給が落ち着いて、徐々に空き室が増え、貧困や犯罪の温床になってしまったからです。
今ではゴーストタウン寸前のような不気味さを醸し出していますが、逆にそれが妙な美しさを放っているのでしょうね。

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『亡命者たち』

最近ヨーロッパ諸国への難民問題が取り沙汰されていますが、難民認定を受けるには想像以上に大変なことのようです。
難民受入れを抑止しようとEUを脱退したイギリスは、実はドイツの次に難民を受け入れている国です。
ただそんなイギリスでも、 難民申請に対して半年以内に判断を下すとしているものの、実際にはそれ以上かかっているそうで、ときには10年以上も待ち続けている人がいるのだそうです。

写真家のサム・イヴィンは、そうした難民たちのポートレートを撮影しました。
http://www.samivin.com

難民=他国に亡命するということは、認定されるまでその人のアイデンティティが2つの国の間で宙ぶらりんの状態にあるということです。
その間、かなりの疲弊を伴う生活をせざるを得ないそうです。
まず最初の1年間は、難民申請者たちはイギリスの法律により働くことを禁止されます。
このため、多くの人々は貧しい生活を送ることになります。
彼らはとりあえずの生活を送るため、毎週約46ドルを受け取り、政府が提供する住宅で生活しています。

イヴィンは、そんな難民申請者77,000人のうち、60人を2年かけて撮影しました。
そして、彼らの顔はことごとく画像処理によって隠されています。
それは、アイデンティティを失いかけている、というメタファーなのです。
現状の問題を抱えるヨーロッパに強く訴求する作品となっています。

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カメラ好きへのプレゼント

机の上に置かれていたら「あれ?」っと二度見してしまいそうな、レンズ型のエスプレッソカップがあるんです。bitten designというメーカーからでているもので、クスッと思わず笑ってしまいそうな商品が多いのですが、こちらもそんな商品です。
MICRO FOCUSと印字が入り、その横には80mm ならず80mlと表示。カップのフタにはシリコン製のレンズキャップのようなカップのフタまである芸の細やかさが可愛いやらおかしいやら。
エスプレッソカップの他にマグカップもあり、そちらはINTO FOCUS 310mlという印字があります。マグカップの方は大きさといい、まさにレンズのようなので、マグカップの持ち手があるにしても本当にレンズ?と思ってしまいそうです。
撮影中のコーヒーブレイクに、こんなカップでコーヒーを飲んだら、それだけでもリフレッシュできそう。
こんなカップををカメラ好きの女子、男子にプレゼントしたら喜ばれること間違いないでしょう。
ちょっとしたお祝いや、お礼などの時にもいいですよね。
あ、そろそろ近づくバレンタインデーに、カメラ好き男子にいかがですか?

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『デジタルチェキ』

根強い人気のチェキ。
お手軽なアナログカメラとして現在も生産されています。
現在の正式名称は富士フイルムの「instax」シリーズ。

ご存知、撮ったらその場で現像できるインスタントカメラで、プリントされた余白にサインやコメントを書いたり、シールで盛ったりとチェキでしか出来ない楽しみ方があります。
そのチェキに、デジカメとしての機能を搭載したのが「instax SQUARE SQ10」です。
もちろん従来通りプリントもできるしデータも残せる、ハイブリッドなinstaxの登場となりました。

これまでのチェキには無かった、デジカメならではの背面ディスプレイを搭載し、そのディスプレイを見ながら撮影画像にフィルターをかけることができ、周辺光量、明るさの調節も可能です。
4枚または9枚の画像を1枚にプリントできる機能もプリクラのようで面白そうです。

センサーサイズは1/4インチとコンパクト。
デジタル画像の解像度は1,920×1,920ピクセルで、プリント時は800×800ピクセルの解像度になります。
またレンズの焦点距離は28.5mmで、明るさはF2.4、撮影感度はISO100~1,600間の自動切替で、AF補助光つきのTTLコントラストAFも搭載されています。

microSDに保存してスマホ・タブレット経由でInstagramなどにも投稿できます。
時代のニーズに対応し新たなファンも増えそうですね。
残念ながらWi-FiやBluetooth機能が搭載されていませんが、そういう意味ではとことん遊び機能のみを追求して進化した、という感じでしょうか。

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『リビング・プロジェクションマッピング』

プロジェクションマッピングといえば、プロジェクターを使って建物や人の顔などのデコボコした表面に光を投じる技術ですが、特殊な技術でコストが高いエンターテイメントというイメージが強く、いままでは一般的には馴染みがありませんでした。

そんななか、専門知識がなくとも、誰でも簡単にプロジェクションマッピングができる「Lightform」という製品が登場しました。
この小さな箱は、部屋のあらゆる物をスクリーンに変えます。

「Lightform」には、プロセッサーと高画質カメラが搭載されていて、HDMIケーブルを使ってプロジェクターに取り付けると、プロジェクターが部屋にグリッドを映し出します。
そして、内蔵カメラがそのグリッドをスキャンして、空間にある物体の位置や面積を詳細に把握します。
収集された情報は、プロセッサーによって物体表面の情報が入った3Dマップに変換され、それをもとにプロジェクターが映像を投影するという仕組みになっています。
単にプロジェクターで映像投影すると、デコボコしていないフラットな面でなければ上手く映りません。
仮に家具の配置が変わった場合は、再度部屋をスキャンすれば新しい3Dマップを作成できます。

これを使えば、部屋のあらゆる物がたちまちスクリーンに早変わりします。
カーテンで映画鑑賞をしたり、ゴミ箱や椅子などに柄を投影することも可能です。
どのように使用するのかは今後様々な可能性が考えられます。
開発者の最終目標は、携帯電話やタブレット、テレビといったあらゆるスクリーンに「Lightform」が取って代わることだそうです。
たとえば、料理の際に肉に切り方を直接投影したり、To-Doリストを机に表示して手の動きでタスクを消したり、といった使い道などができれば・・・。
まるで現実世界とスマホの中が一緒になったような拡張現実がこの先にありそうです。

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きたる写真展

銀座シャネル・ネクサス・ホールでロバート メープルソープの写真展が開催予定です。
期日はもう少し先の3月14日からですが、今から楽しみに予定を入れている方も多いのではないでしょうか。
作品はメープルソープの独特な線で映された花、生物、ヌードなどおよそ90点で、それらはシャネル銀座ビルディングの設計を手掛けた建築家、ピーター マリーノのプライベートコレクションというので、こちらも驚きです。
写真展のタイトルは「Memento Mori」。ラテン語のフレーズで語感もいいことから各国でいろんなシーンで使われる言葉です。一般的にとらわれる意味は死を意識せよ、という意味合いで、つまりはどんな偉業を達したものでも人である以上死は平等におとずれる、といった戒めの意味合いがある言葉ですが、それゆえに「今を楽しめ」といった意味合いでも使われています。
静物画などではしばしば、memento moriと虚栄心を象徴的に表現し、17世紀には「死すべき運命」といったモチーフとして取り入れられたり、宗教的な背景からは来世という意味合いでもとらえられていたようです。そして現在のアーティスト達はMemento moriを死、そしてそこから、刹那という意味合いでも表現しています。
メープルソープの作品と共にいろいろ考えたり感じたりすることがありそうな展示会です。
ギャラリーということもあって、入場料無料というのが嬉しいですね。そして会期が4月9日までですがその後「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真展」の一環として京都を巡回するということです。

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ポートレートの構図の呼び方

人物撮影でどのくらいの構図にするか、つまり顔を入れてどのくらいのバランスまで撮影するかを表す用語として、全身を撮影する「全身ショット」、ちょうど胸あたりから上を画面に入れる「バストショット」「ミディアムショット」そしてほぼ顔中心の「アップショット」という呼び方があります。
その国それぞれの名称があるでしょうが、イタリアでは大体5パターンくらいの名称があるそうです。もっと細かく分けるとそこから7パターンまで。
まずは全身ショット、それから膝あたりで切る(膝あたりから上)構図をアメリカンショットといい、いわゆるバストショットがあって、そのあと顔アップショットがあり、目などの部位ショットは細部ショットとでも訳しましょうか、そこまで構図名称があるそうです。
これは写真の場でも映画撮影の場でも同じように使う用語です。どんな職場でも業界用語、専門用語というのはありますが、その場にいるスタッフ全員が認識している用語があるって便利ですよね。専門的な作業であればあるほど、細かい部分に独特な言い回し、専門用語があるように思います。
どの国でもどの職場、環境でもところ変われば、ですね。

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