いつか、懐かしいと思うときが
先日ラジオを聴いていたら、ゲストで写真家の初沢亜利さんが「東京、コロナ禍」という写真集を出版したということを知りました。
「沖縄のことを教えてください」や、「隣人、それから。38度線の北」など激変の地を追いかけて撮影するドキュメンタリーフォトグラファーの初沢氏が今回追いかけたのは、
日々、それもものすごい速さで変化していく大都市、東京。
蜷川実花さんもインタビューの中で、写真家ならばこの時期の東京は撮らずにはいられない、という旨のコメントをしていたのを思い出します。
閑散とした銀座の交差点、ネオンだけが光る歌舞伎町、片道三車線の大通りで遠くまで見通せる光景、見たことのない東京の街の様子を報道を通して見ていても、
なぜだか実際に自分の目で見たような感覚になるのは、知っている街だからこそ。見たことないのに見た覚えがあるような不思議な感覚。
写真集「東京、コロナ禍」は2020年、2月下旬から7月はじめにかけて、東京の街を歩き回って撮影した142点の写真が収められています。
写真は時系列に収録、だからこそ、じわじわと季節の移り変わりとともに変化していく東京を、いろいろな側面から見て感じることができるのでしょう。
まさに、ドキュメンタリーとして「記録」の写真集でもありますね。
歴史上ではなく、パンでミックそのものを現在で体験した私たちは、この記録的な写真集の一枚一枚の写真を見て、いつか懐かしく思うときがきっとくるのでしょう。