現在アーディゾン美術館で開催されている「ジャム・セッション M式『海の幸』- 森村泰昌 ワタシガタリ神話」は、石橋財団コレクションの青木繁作品の自画像や作品の人物に森村氏が扮した写真作品と映像作品で構成された展覧会です。
ジャムセッションというのは財団所有の作品をベースにアーティストと学芸員が共同してセッションとして新しい作品を生み出して展覧会を構成するという面白いプロジェクトです。毎年一回開催する予定だそう。
さて、その大規模なジャムセッション、50点以上の森村氏の新作を観ることができるということで、まさに森村氏による青木繁研究ですね。
その大掛かりな展覧会にも圧倒されますが、関連プログラムも面白いです。
「土曜講座」というプログラムはもともと森村氏の講演を予定していたそうですが感染拡大予防のために動画がYouTubeで公開する形式になり、現在5週連続の森村氏の動画を自由に観ることができます。これってすごい機会ですよね。
5つに分かれた展覧会構成に沿って、森村氏が語ります。
短い動画で約11分、長い動画が約37分、公開期限がないそうです。
コロナ禍の影響はいろいろな場面に影響していますが、こうやって自由にアーティストの「講演」を聞くことができるのは嬉しいことです。
展覧会は来年2022年1月10日までです。
月: 2021年11月
最後のグランプリ受賞作品
今年度で終了する「写真新世紀」の選出公開審査会が行われ、賀来庭辰(かく なおたつ)さんが、作品「THE LAKE」でグランプリを受賞されました。
なんと動画作品。
審査員の清水穣さんのコメントにもあるように、30年前の1991年にスタートした新人写真家の発掘、育成、支援を目的とした文化支援プロジェクトのコンテスト最後のグランプリ作品が動画作品ということはとても象徴的な表れなのではないでしょうか。
写真新世紀のHPにこのプロフェクト、コンテストに関して以下のような記述があります、「テクノロジーの進化によって、カメラの領域は、フィルムからデジタル、静止画から動画へと拡がっています。『写真新世紀』は、静止画と動画が互いの境界線を超え、写真表現の可能性を拡げると考えます」(抜粋)と。
まさに最後のグランプリにてその写真表現の可能性が拡がっていることを示した形となります。
今回の公募には過去最多の2,191名(組)の応募が国内外からあり、グランプリを受賞した賀来さんには奨励金として100万円および副賞としてキャノンのミラーレスカメラEOS R5、交換レンズRF24-70mm F2.8 L IS USMが贈呈され、来年度の新作個展開催の権利が授与されました。賀来さんは2017年の写真新世紀にて佳作を受賞して今回のグランプリという経緯もあり、来年の個展にも期待が集まります。
今回のグランプリ受賞作品「THE LAKE」はHPにて観ることができます。白黒の25分52秒の作品はまるで短編映画を観ているようです。
来年には東京都写真美術館とキャノンギャラリーSにて開催予定の30周年回顧展は歴代受賞者の作品の中から一般の投票で決められた作品が展示される予定です。写真新世紀のHPにて2022年4月2日まで投票できます。
師弟の写真展
11月28日まで写真展「藤井保 瀧本幹也 往復書簡 その先へ」が開催しています。藤井保氏と瀧本幹也氏といえば師弟関係、瀧本氏が18歳の時にみた藤井氏のJR東日本「その差秋の日本へ。」という作品に心打たれ、20歳の時に藤井氏に師事し27年に及ぶ関係があるふたりの「二人展」です。
ギャラリーからの依頼によって始めた写真と言葉の往復書簡が今回の展示内容です。昨年は同ギャラリーで木村恒介氏とともに3人展を行っています、同じ広告写真というフィールドかつ映像も手がけるお二人ですがコントラストがある作品を展示していました。
この2年半にわたる往復書簡が書籍としても発売されます。ブックデザインはお二人とも交流の深い葛西薫氏、一般発売は11月8日ですがギャラリーで先行販売されます。
内容は2019年6月から2021年8月までのおよそ100通のメールによる写真と言葉を収録とのこと、藤井氏と瀧本氏の作品を同時に、そして言葉も一緒に触れることができる写真集とは違う楽しみ方ができそうです。
刊行を記念して代官山の蔦屋書店ギャラリースペースにてMA2 Galleryとは違う作品展示とその販売、サイン本の販売なども行われます。
富山に魅せられる
「富山の本気」で有名なイナガキヤストさん。
富山在住のイナガキヤストさんはインスタグラムで6万人強、Twitterでは9万人強のフォロワーを持つフォトグラファーです。
NHK富山ではイナガキさんのコーナーを持ち、富山県射水(いみず)市では公式フォトアンバサダー、SONYのXperiaのアンバサダーなどなど幅広く活動されています。プロフィールには「富山の本気と家族を撮っています」とあるように、その本気具合が圧倒的な美しい写真から気圧されるほど伝わってきます。
インスタグラムまたはTwitterでイナガキヤストさんのその「富山の本気」をご覧になった方も多いのではないでしょうか。
一枚一枚が富山の広告のような趣、これらの写真を見て富山に旅行に行きたいと思った人は少なくないでしょう。
先日11月9日投稿した写真にもものすごい反応がありました。その写真は富山県高岡市の女岩(めいわ)が朝日を浴びてシルエットが浮かぶ写真です。朝日が海と空と毛嵐を金色に輝かせ、女岩と波打ち際で一列に並んで撮影している人たちをもシルエットとして浮かび、神懸かったような一枚です。
Twitterではこの一枚に12万人強のいいねがついています。
ご自身のブログではカメラやレンズ、アクセサリーのことと、キャンプについても書かれています。
SNSや各媒体から発信されるイナガキさんの写真、風景を撮影する際のヒントがたくさんありそうです。