美しいスチール

気になる映画があれば、さらに気になるのはその映画のスチール撮影は誰が担当したのだろう、ということ。
そもそも素晴らしい映画のポスターってすごくいいですよね。いい写真なんですよね。
さて、最近最も気になった映画のスチールは、西川美和監督作の「永い言い訳」。
ロードショーは来月ですが、映画自体のHPをはじめすでに色々な媒体で映画の紹介が行われています。そこにあるスチールを見て、ハッとさせられます。それほど印象的なこのスチール撮影はどなたによるものなんだろう。すぐにクレジットを探して「ふーっ」と納得です、メインビジュアルフォトグラファーとして上田義彦氏の名前を目にしたからです。なるほど! と合点、同時にこの映画の制作スタッフの力の入れようが伺えます。
そもそも映画(映画の予告)自体を観るまでは、目にするのは映画の顔とも言えるスチールなんですよね。それはポスターでもあり、パンフレットでもあり、DVDになればパッケージにもなる写真。その印象ってものすごく大事ですよね、いわば映画の広告そのものです。
監督はもちろん、前面に見える出演者のキャスティングが映画の印象を変えますが、写真の持つ力が想像以上に強いのがスチールだと思います。
だからこそ、スチール担当が上田氏とわかって、なおのこと、この映画の公開が待ち遠しいものです。

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『妖怪の島』

フランス人写真家シャルル・フレジェは、世界各地の民族衣装を撮り続けています。
ここ日本においては、「YOKAI」(妖怪)と題し、ナマハゲから獅子、鬼といったメ
ジャーなものから、見たことも聞いたこともないような奇妙な風貌のものまで、さま
ざまな種類の「妖怪」の姿を、フレジェは捉えています。

それらをひとまとめにした作品のタイトルは、「YOKAI NO SHIMA」。
古くから妖怪と共存をしてきた日本人がもつ世界観を、外国人の目線で映し出してい
ます。

http://www.charlesfreger.com/portfolio/yokainoshima-4/

フレジェは2013年から2015年にかけて、日本各地(北は秋田から南は沖縄まで)の58
カ所を巡ったそうです。
そしてそれぞれの土地の祭りで実際に使われる仮面や装束を写真に収めてきました。

写真を見ていると、妖怪たちの奇妙な外見にはもちろん、地域ごとに異なるその種類
の多さに驚かされます。

日本人は欧米人に比べると、妖怪や霊のような「あやかしの存在」と共存してきた国
民ではないでしょうか。
代々受け継がれてきた伝承や、江戸時代の妖怪絵巻、現代ではゲゲゲの鬼太郎やトト
ロ、果ては妖怪ウォッチといった具合に、いつの時代も妖怪は一定の人気を得ていま
す。
古来から現代に至るまで、常に文化のなかに妖怪が存在してきたことを考えると、た
しかに日本は世界有数の「妖怪の島」と言えるのかもしれませんね。

「YOKAI NO SHIMA」は、異国のフィルターを通して、あらためて日本にはこれほど豊
かな「あっちの世界」があることを教えてくれます。

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リニューアルオープン 東京都写真美術館

約2年間という長い時間をかけて改修を終えた東京都美術館が今月リニューアルオープンを迎えました。
リニューアルオープンと総合開館20周年記念としての記念すべきはじめの展覧会は「杉本博司ロスト・ヒューマン」展が開催されています。
人類と文明の終焉というテーマの「ロスト・ヒューマン」というタイトルのこの展覧会は、2Fと3Fの2フロアのスペースを贅沢に使った展示で、「廃墟劇場」「今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない」「仏の海」の3部構成になっています。
杉本博司氏といえば、大型カメラで撮影した「劇場」シリーズで一気にその名を写真界、美術界のみならず、一般社会にも認知された印象がありますが、今回興味深いのはその「劇場」シリーズの新シリーズとして発表される「廃墟劇場」です。
その名の通り、廃墟化したアメリカ各地の劇場にて撮影されたもので、「劇場」シリーズと違うところは、作家自らがスクリーンを貼り直して、杉本氏が選んだ映画を放映し、もちろん観客はいないという点です。選ばれた映画は劇場によってそれぞれ、でもロスト・ヒューマンにちなんだ世界の終わりをテーマにした映画を放映しながらの撮影ということです。
長時間露光によって浮かび上がる廃墟化した劇場と真っ白なスクリーンのコントラストが、新シリーズとして話題になりそうです。
ちなみにこの「廃墟劇場」、世界初公開です。
会期は11月13日まで。
会期中の第二、第四金曜日には展覧会担当学芸員さんによる展示解説もあります。

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『写真共有サイトの使用カメラランキング』

写真共有サイトにアップされた700万枚以上の画像から、人気のカメラメーカーや、
レンズや設定を可視化したインフォグラフィックが公開されました。

https://explorecams.com/stats/global

InstagramやFacebook、Twitterなど大手SNSに投稿された画像はカウントしていない
そうですが、充分参考になるでしょう。
また、巷のカメラ製品売上ランキングとも違うところもあるでしょう。
高画質な画像をアップロードしている方々が、何のカメラで撮っているか見えてくる
というのは面白いですね。

みんな、何の機材で撮ってるんでしょうか。

まず、メーカーランキングは、キヤノンが38.72%で1位。
ニコンは32.19%で2位です。
アップル(iPhoneやiPad)は4.32%なのに対し、ソニーは8.68%で、意外に勝利。
ソニーにも多数のカメララインナップがありますからね。

人気ボディもキヤノンが人気です。
TOP5のうち、EOS 5D MARK III(1位)、EOS 6D(2位)、EOS 5D MARK II(3位)、
EOS 7D(5位)と4モデルもランクインしています。
4位はニコンのD7100。
全体的に高画質でありながらコンパクトな中上位機種でまとまっているようです。

人気レンズは、3位のEF 50mm f/1.8 IIをのぞいて、全部ズームレンズなんですね。

・・・といった感じで、自分の使っている機材がどのくらいの人気か見るのも面白い
ですね。

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『震災直後の一夜を乗り切る「IZAT」』

照明やカー用品メーカーとして知られるビートソニックは、「Makuake」というクラ
ウドファンディングサービスで、災害時用LEDライト兼モバイルバッテリー「IZAT」
の販売を開始しました。

「IZAT」はボディ全体が点灯するLEDライトとして使える上、モバイルバッテリーと
しても利用可能なのです。
べつに多機能でなくてもいいんです。
コンセプトは、「震災直後の一夜を乗り切るために」。

災害が起こったときの非常時には、まず明かりを確保して、つぎにスマホなどの通信
機器の状態を正常に保ちたいはず。
電波的には大丈夫でも、電池が切れてしまったらどうしようもありません。

この「IZAT」の特徴は、避難生活でずっと使える・・・というものではなく、震災直
後の不安の大きい一夜を安心して乗り切るということに主眼を置いているのです。

ライトは光量を抑えることで最大60時間持続して点灯します。
100%の点灯でも8時間はもちます。
一夜を過ごすには十分な時間ですね。
また、周囲にSOSの知らせをするための、赤色点滅やSOSストロボ発光も可能です。

防塵・防水性能や耐衝撃性も兼ね備えていますので、多少荒い使い方をしても問題な
さそうですね。
本体の大きさは144×36mmと、比較的コンパクトで持ち運びが用意です。

https://www.youtube.com/watch?v=tIRkCUupF4I

備えあれば患なし。

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IMSHU

これは、天才アラーキー、荒木経惟氏の最新展覧会の「淫秋」というタイトルです。
2015年の個展「淫夏」、そして2016年「淫冬」に続くこの展覧会では、また新たな斬新かつ白黒プリントにしても「アラーキー色」全開の「しびれる」最新作が観れそうです。
今回のタイトルは「淫秋」のみならず、「淫秋—般若心經惟」というように、和紙にプリントされた写真に荒木氏が「般若心経」を書でしたためた作品で、また違ったアラーキーの境地をみせてくれます。
荒木氏の書は、これまでにも氏の写真集タイトルなどにも起用していたりと、これまでにも目にする機会があり、その独特な書は、写真と同様世界でも高く評価されています。
その白黒プリント以外にも、コラージュ作品のシリーズなどでも発表され、荒木氏が好んで制作するインスタントフィルムを使った最新作も展示。インスタントフィルムの2作品をカットしてつなぎ合わせた最新作は、タイトル通り「淫」も「秋」も感じられるけれど、そこはかとなく「悟り」の色が滲んで見えてくるのはタイトルだけのせいでしょうか。
非常に精力的に最新作を発表し続ける荒木氏のエネルギー、創造性と想像性をすこしでもいただきに展覧会に足を運びます。
会期は11月11日まで、場所は渋谷のアートスペースAMです。

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没後20年、星野道夫

偉大な写真家、星野道夫さんの没後20年を記念して、いろいろな場所で「星野道夫」の名を耳にし、彼の写真を目にする機会があります。
まず東京、松屋銀座で「星野道夫の旅」と題して展示会が開催中で、大阪、京都、横浜と巡回展示特別展が始まっています。
それからこちらは広告写真で多くの方が目にされたことでしょう、「BRUTUS」の最新号でも「こんにちは、星野道夫。」として特集がくまれています。
アラスカの大自然の中で、動物、そして自然環境を撮影し続けた星野さんの写真は、動物への愛情と畏怖が一枚一枚から伝わり、じっくり見入ってしまいますよね。
巡回展覧会の他に、もうひとつ注目したい展覧会が「ほぼ日刊イトイ新聞」にて運営されている直営の店舗兼ギャラリーのTOBICHI2にて「星野道夫の100枚」展という写真展も開催されます。
こちらのコンセプトが面白く、それは大きな展示会会場ではないために、一般の写真展のように展示するのではなく、星野さんが撮影した実際のポジフィルムをライトボックスを使って、ルーペで1点1点観ていくという鑑賞方法です。
つまりは、まさに星野さんが現像を終えたフィルムを確認し吟味し、作業する過程を体験しながら鑑賞できるということです。
鑑賞するのは、星野さんの名作品100枚を選び、そしてそのオリジナルポジから高精度の複製フィルムを作ったものだそうです。
おのおの、違ったアプローチで、星野道夫の世界を堪能できそうです。
松屋銀座の会期は9月5日まで。TOBICHI2での開催は9月8日から9月19日までです。

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トーマス・ルフ展

日本初のトーマス・ルフの美術館個展が東京国立近代美術館で始まりました。
日本初の回顧展、東京国立近代美術館と続いて金沢21世紀美術館で行われる大規模な個展ということで注目が集まり、開幕前日の記者会見も大きく取り上げられていました。
写真を大きく引き伸ばして展示する方法の先駆けになったと言われる「Porträts」から、日本の回顧展のために着手し世界初公開となる最新作「press++」まで、まさにルフ作品をまとめて鑑賞できる展示内容になっています。
さらに展覧会開催記念として、エディション特別販売と銘打って、2作品が各50エディションで制作され販売されるとのことです。
展覧会を機にオリジナルプリントを購入できるとなるとコレクターには嬉しいニュースでしょう。
販売はウェブのみで東京の展示と金沢の展示の期間に合わせて販売が開始されます。
この回顧展に合わせた日本語サイト(http://thomasruff.jp)には写真をホンマタカシ氏、テキストを服部円氏が担当したインタビューも掲載され、彼のアトリエ、普段の制作の様子などが伺えるとても興味深い掲載も読むことができます。
美術館の大きな空間の中で大きなルフ作品を間近で観れる機会です。
東京国立近代美術館の会期は11月13日まで。金沢21世紀美術館の会期は12月10日から来年2017年3月12日までです。

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『ナノカメラ』

SFのような話です。
超小型カメラが開発されたのです。
どのくらい小型かって、何とレンズ幅が驚異の0.1mmです。
ドイツの大学の研究チームが、3Dプリンターを使ってつくったそうです。
注射器で体内に注入できる内視鏡や、セキュリティーカメラとして応用することがで
きるとのことです。

研究チームによると、このカメラは、数時間で設計、製造、テストが行えるにもかか
わらず、高い光学性能を有しているといいます。
3Dプリンタで出力するだけですからね。すぐ製造出来そうです。

0.1mmって実際どのくらいかというと、塩の粒とほぼ同じ大きさだそうなんです。
3.0mmの距離から対象イメージに焦点を当てることができるそうで、しかもその画像
を光ファイバーを通してリアルタイムで確認することも可能です。

塩粒ほどの、非常に小さいカメラであるため、注射器の先端に入れて、人間の臓器や
脳に注入することができると科学者たちは語ります。
しかし、実際にこれを行うには、越えなければならない規制のハードルや実施すべき
テストがまだ残っているそうです。
技術や法規だけでなく、倫理的にもどうなのか議論を巻き起こしそうですね。

研究者たちは、「人体の内部を診察するための侵襲性を最小限に抑えた内視鏡」とし
てこのカメラを使用したり、「肉眼では見えないセキュリティーカメラ」や「視覚機
能を備えたロボット」に組み込むことができるだろうと話しています。
また、医療だけでなく工業分野においても、小さな物体に損傷を与えることなく検査
することができるようになるでしょうとも言っています。

新しい未来はもうすぐですね。

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シノラマ

「シノラマ」という言葉をご存知でしょうか?
これは篠山紀信氏が自ら作った造語だそうで、ジョイント写真の技法で撮影したものを組み合わせて「パノラマ」にみせた作品を指し、つまりは「シノヤマ」と「パノラマ」を足して「シノラマ」とネーミングされたものです。
さて、「シノラマ」写真の最新作も観れるという篠山紀信氏の個展が原美術館で開催中です。
題して「快楽の館」。
この展覧会ではすべての写真が原美術館にて撮影された、いわば撮り下ろしの作品ばかりの新作です。
すべて原美術館で撮影された作品ですが、もともと一般的に美術館が空の状態で置かれる期間というのは短いもので、今回の撮影は今年5月の10日間だけを使って、およそ30名のモデルを起用して撮影にあたったということです。
館内を鑑賞しつつ、その館内で撮影された作品を見ていくという、面白い混乱を起こしそうなこの展覧会、篠山節と原美術館の興味深いコラボレーションとも言えるのではないでしょうか。
開催期間は来年2017年1月9日まで。
たっぷりとある期間中に、何度でもゆっくりと鑑賞できそうです。

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